引き続く熱帯環境の耕作地への転換が、生物多様性の喪失を食い止めるための世界的な努力を危うくする可能性がある
PLOS ONE誌に掲載された新しい報告により、熱帯環境が驚くべき勢いで穀物生産のために伐採されていることが明らかになりました。生物多様性が豊かな熱帯で予測されている環境転換のスケールは、国際的に合意された保全目標を達成するための社会の能力を大きく崩す可能性があります。
生物多様性条約のメンバー国は2020年までに一定範囲の保全目標を達成することを誓約しています。そこにはあらゆる自然環境の喪失率を少なくとも半分に、可能ならゼロに近い率にして、確実にすべての農地を持続可能なように管理し、農業由来のものを含むあらゆる有害な汚染をなくすことが含まれて居ます。
ケンブリッジ・コンサベーション・イニシアティブの研究者は(バードライフ・インターナショナルと英国王室鳥類保護協会の科学者を含む)1999年~2008年の間に農地が毎年48,000平方キロ増大したことを知りました。新たな農地の多くはナイジェリア、インドネシア、エチオピア、スーダン、ブラジルで拡大したものです。この期間に広大な地域で生産が広がった農作物は特に大豆とトウモロコシで、その他の作物で大きく増えたのは米、ソルガム、油ヤシ、豆、サトウキビ、ササゲ、小麦およびキャッサバでした。
今後の数十年で熱帯では農地の拡大は南アフリカ共和国と同じ面積に影響を与えるでしょう。報告書は開墾される可能性の高い地域を特定しており、そこにはアマゾン盆地の周辺域、オーストラリア北部、パラグアイのチャコおよびサヘルと東アフリカのサバンナ森林地帯が含まれて居ます。報告書はまたアフリカのコンゴ盆地のように以前は農地への転換の可能性が低いと思われていた場所でも農耕地の拡大リスクが増加していることを示唆しています。
もし熱帯地方の自然環境が、今回の研究で報告された率で耕作地に転換されると、それは生物多様性条約で合意された2020年生物多様性目標の達成のための国際的な努力を頓挫させることになるでしょう。増加する人口を養うための方策を見つける一方で、不必要な農耕地の拡大を制限し、そのようなことが起きている場所では環境への影響を少なくすることが不可欠です。