トルコの裁判所 ダム建設の中止を命令し世界遺産を保全
トルコの裁判所が、論議を呼んでいるイリス・ダムの建設を、トルコ環境法に沿ったものでないとして即時中止を命令しました。
イリス・ダムはトルコ南東部のチグリス川に建造中の築堤ダムです。このダムは水力発電を行い、洪水の制御と貯水を目的としています。完成時にはダムは310平方キロメートルの古代メソポタミアのエリアを浸水させ、104億立方メートルの貯水池となる予定です。
1980年代に初めて提出されたこのプロジェクトは、その直後から地域コミュニティやDoga Dernegi(トルコのパートナー)を含む環境や文化遺産、人権などを代表するNGOからの強い反対が起きました。ダム建設への反対理由は、ダムによりこの地方の住人に移住が強いられることと、ユネスコの10の世界遺産基準のうちの9つを満たす、12,000年前の都市Hasenkeyfを水没させるからです。
2011年の第1審の後、同プロジェクトは環境影響評価(EIA)が無視された時に中止されました。EIAはトルコの法律ではこの種のプロジェクトの実現には必須のものなのです。トルコ政府は道路、電線、その他の大規模インフラなどの工事をEIAから免除するための新しい法律を導入して対応しました。
しかし裁判所は立場を堅持し、1月7日に第2回目のプロジェクトの否認を行い、工事の即時中止を命令しました。この結果、法律で定められているEIAを無視して工事を進めることは、トルコ環境法とEIA法への違反であることを明らかにしたのです。
バードライフ・ヨーロッパとトルコのパートナーは、裁判所の判決を、このプロジェクトを最初から非難してきた地元コミュニティやNGOを勇気づけるものとして歓迎しています。
しかし、政府は7日以内に裁判所の判決に不服を申し立てることが出来ますし、判決を覆す新しい法律を成立させるという代替手段もあるので、まだ戦いに勝ったわけではありません。
「今回は世界の目が見ています。判決は私たち共通の自然および文化遺産の保全という利益のために堅持されるべきです。」とDoga Dernegiの会長Engin Yilmazは言いました。