パレスチナにおけるエコツーリズム
パレスチナで初めてのエコツーリズム会議が11月9日に開催されました。持続可能な方法で経済的・社会的利益を得ながら、同時にその独特な自然の遺産を保全する方法を探ることが目的でした。
地中海、ガザの長い海岸線、エルサレム山脈、東部の傾斜地、Jericho and El-Gour渓谷などがパレスチナの変化に富んだ地勢と気候を代表するものです。狭い地域にもかかわらず生物多様性は驚くほど豊かです。2,720種を超える‘パレスチナの植物相’と約520種の留鳥と渡り鳥がこの狭い生態学的地域に生息しています。多くの鳥がこのパレスチナ南部と中央部の小さな陸橋を通ってアフリカとヨーロッパを行き来します。それに加えて70種以上の哺乳類と数千種の昆虫、爬虫類、両生類もこの狭くて多様性に富んだ地域に生息しています。パレスチナは途方もない自然美と多様性の土地です。けれども紛争、気候変動、環境ストレスがパレスチナの自然の遺産に大きな脅威を与えています。
パレスチナによるIUCN(国際自然保護連合)への制約に述べられているように、保護活動を倍増させることが必要です。エコツーリズムは、経済的・社会的なチャンスを作り出すと同時にパレスチナ独特の自然環境の保全に貢献します。「PWLS(パレスチナ野生生物協会: 同国のバードライフ・パートナー)はエコツーリズム活動の草分け的存在です。彼らはこれまでにおよそ40人のツアーガイドを養成し、現在同国で初めてのエコツーリズム会議を計画しています。加えて、エコツーリズムの学位プログラムを開始する予定です。」とPWLSの事務局長Imad Atrashは述べています。
パレスチナの観光・古代文化財省の大臣Rula Ma’ayaaの支援の下、昨日同国で初めてのエコツーリズム会議がBeit Sahour(地名)のUsh Ghurab 公園で開催されました。「エコツーリズムは村や町の福祉活動に大きな影響を及ぼします。通常の観光ルートの外に出て、広範囲で多様なツーリズムを実現させるツールになります。」とRola Maayah大臣はコメントしています。
多くの国内外の専門家、政府の職員、学者および市民社会の活動家が集まり、パレスチナで進んでいるエコツーリズムの発展のための課題や、課題解決と同時にパレスチナの豊かだが壊れやすい自然遺産を守る方法について話し合われました。
会議ではエコツーリズムは必要不可欠であり、国家のスケールで取り組むべきであることが合意されました。幾つかの場所が文化的遺産と自然遺産を融合させた新しいツーリズムのコンセプトのモデル地として選定されました。
パレスチナ野生生物協会は、エコツーリズムを通じて同国の遺産サイトの自然および文化的価値の持続可能な利用を促進し、これらのサイトの保全とモニタリングを助け、国および地域の保全とエコツーリズムを推進し、地元コミュニティや旅行会社と協力してパレスチナでのエコツーリズムやその他の持続可能な開発を推進することを目指しています。
報告者: パレスチナ野生生物協会