マテ茶を嗜むなら日陰栽培のものを

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写真提供: © James Lowen

有機栽培のイェルバマテがダーウィン・イニシアティブ助成金から支援を受けることになりました。Guyra Paraguay(パラグアイのパートナー)とその地元のパートナーが、イェルバマテ日陰栽培プロジェクトによるパラグアイの大西洋森林の保全活動に30万ポンドを超える支援を得たのです。

プランテーションというと、幾つかのイメージが思い浮かぶでしょう。見渡す限りの同一種の樹木の列、どんな化学薬品が散布されたか不安になるような焼けた大地とバリバリと崩れる枯草。けれども、パラグアイの日陰栽培のイェルバマテのプランテーションでは、そんな予想は裏切られるでしょう。ここでは雨粒が頭上の森の樹冠から滴り落ち、鳥やカエルの鳴き声がどこからともなく聞こえ、原住民がイェルバの葉を数世紀も前の昔からのやり方で摘んでいるのです。

これこそGuyra Paraguayが先住民族のムビャ・グアラニー人やカンペンシノス(地元民)、民間企業、政府および市民社会と複合的パートナーシップを組んで、パラグアイの南東部の世界的に貴重なサン・ラファエル保護区の再建を目標に取り組んでいる農業モデルなのです。この保護区には72,000ヘクタールの大西洋岸森林があり、他の新熱帯区よりも多くの絶滅危惧ⅠA類の固有種が生息する生物多様性ホットスポットおよびEBA(固有鳥類生息地域)になっているのです。事実、サン・ラファエルはパラグアイ最大で最優先の大西洋岸森林で、ジャガーやブラジルバク、400種の鳥類が生息しています。同保護区は先住民族古来の生活域内にあり、600人のムビャ・グアラニーの人々が22のコミュニティに分かれて暮らしています。

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これらのコミュニティは極めて孤立した状態にあります。ほとんどの住民は厳しい貧困に苦しみ、基本的な健康、教育および公衆衛生を欠いています。技術や市場へのアクセスがないため、自給作物あるいは換金作物の農業に依存していますが、基礎的なニーズを満たすには不十分であり、食の不安定と子供の栄養不足につながっています。ムビャ・グアラニーの人々は天然林資源に大きく依存していますが、貧困が彼らや近隣のカンペシノス住民は農業のために大西洋岸森林の伐採するしか手が無くなっているのです。2006年に‘ゼロ森林伐採’法が批准されたのにもかかわらず、これだけ広い範囲で効果的に法を執行することは困難です。残された森を守るためには伐採の代わりになる市場志向の解決策が不可欠です。

イェルバマテはヨーロッパヒイラギに近縁の南アメリカの樹木です。この木は南アメリカの中央部および南部で伝統的に消費されている暖かい飲物、マテ茶を作るのに利用されます。日陰栽培によるイェルバ生産者のGuayakiは「マテはコーヒーの強さにお茶の健康の利益とチョコレートの高揚感を混ぜ合わせた物」だと得意げに言います。通常は太陽の下で育てられますが、輸出用として日陰栽培の有機イェルバへの需要が高まりつつあります。

ダーウィン・イニシアティブの資金を利用して、Guyra Paraguayらのパートナーシップは50ヘクタールの有機日陰栽培によるイェルバ農園を作ると同時に確固たる国際市場を開発し、先住民コミュニティに持続可能な雇用を創出する予定です。その販売利益は喫緊の開発プロジェクトのために各コミュニティに配分されます。パートナーシップは今後、モニタリングや研究開発および草の根運動によって、日陰栽培のイェルバを大西洋岸森林の公平な保全のためのモデルとして、政策提言を行います。次回は元気になる一杯のマテ茶を嗜む際には、日陰栽培のものをお試しください。

 

報告者: Louise Jasper

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