世界最悪の混獲を招いた漁が‘海鳥に安全’なものに変る

ほぼ2万羽のノドジロクロミズナギドリがナミビア政府により制定された新しい法律で守られることになる。
写真提供: © Stephanie Winnard

ナミビアで底引き網漁やはえ縄漁で殺される海鳥3万羽を守る新しい法律が通過しました。

2013年に二つの漁船団に乗り組んだ漁師はいつも通り網と釣り糸を運んでナミビアのウォルビスベイ港を出港しました。彼らは知らないことですが、この年は合計3万羽の海鳥の偶発的な死が伴う漁から帰港する最後の年になるでしょう。

「溺れ死ぬ鳥、特にそれが大型の鳥の場合、その姿を見るのは本当に悲しいことです。彼らの本来なら長い寿命と、巣で彼らが戻って来るのを待つ雛が居るのを知っているからです。」とナミビアの‘アホウドリ・タスクフォース’のClemens Naomabは思い出しています。「それが、今や簡単な方法で避けられるのです。」

私たちがナミビアを海鳥混獲の世界で最悪の漁業国だと報告して以来、私たち‘アホウドリ・タスクフォース(ATF)’は海では漁師と共に、陸上ではワークショップを通じて、そして政府の役人と共にこの状況を逆転させるために熱心に活動を行って来ました。

「私たちの活動は上層部の人たちの注目を大いに得ました。」とClemensは言います。「規制が実施されたので混獲が少なくとも85~90%減るものと期待しています。」

ナミビアでの海鳥混獲を効率的に終わらせる簡単な解決策を用いることが二つの漁船団に義務付けられました。70隻の底引き網漁船に対してトリポール(鳥脅しとも呼ばれる吹流しをつけたロープで、海鳥がはえ縄漁で使う餌に近づけないようにする)の使用、12隻のはえ縄漁船に対してトリポール+錘付釣り糸の使用(加重枝縄)、及び、夜間のはえ縄設置(夜間操業)の義務付けです。これは、はえ縄漁の針に掛かることが多いノドジロクロミズナギドリ(絶滅危惧Ⅱ類)や、底引き網のケーブルに掛かるマユグロアホウドリ(準絶滅危惧種)とニシキバナアホウドリ(絶滅危惧ⅠB類)などに大きな違いをもたらすでしょう。

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ナミビアの海鳥への新たな希望 写真提供: © John Paterson

22種のアホウドリ類のうち15種に絶滅の恐れがあります。けれどもこのことを毎日500羽ものアホウドリが船の周りにいるのを見ている漁師に説明するのは容易ではありません。アホウドリたちは簡単に餌が取れるので数千キロも漁船に付いて回るからなのです。1度の漁に同行し、12日間を海で過ごしたことでClemensと他のATFのインストラクターは漁船員たちと信頼関係を築きました。「私は彼らに状況を説明しました。彼らはアホウドリが60年も生きると聞いて驚きました。この航海では一度も悪い経験はしませんでした。理解さえすれば彼らもアホウドリを守りたいのです。」ナミビア・メルルーサ(魚の一種)漁業組合は明らかに心を動かされて、去年から自発的にこれらの対策を採用しました。

バードライフと地元のAFTパートナーのナミビア自然基金のロビー活動により、漁業省とチーフ漁業科学者は規制が完全に実施されるよう前進しました。即ち、ナミビアの漁船団を海鳥に安全なものにするための法律を制定したのです。法律違反には厳しい処罰、即ち50万ナミビア・ドルの罰金と最長10年の懲役刑が課せられます。けれども、AFTと‘監視人’ネットワークのスタッフが乗船して混獲対策がいかに簡単で安価なものか、また、それらが毎日の漁の妨げにならないことを示した後では、起訴の必要などないはずです。

「私たちは船上での法律順守のモニタリングを確実に行うよう漁業監視局と共同で活動しており、近々漁船団全体での海鳥混獲削減の報告が出来るものと期待しています。」と‘アホウドリ・タスクフォース’の国際コーディネーター、Oli Yatesは言っています。

鳥にも女性にも良いこと

AFTは、地元で作ったトリポールを最も乗り気でない漁船団にさえ供給している女性団体と一緒に活動しています。これは彼女たちの収入の一部にもなるのです。「彼女たちは‘鳥の楽園’と呼ばれる港のセンターで働いている高齢の女性グループで、これまでに数百ものトリポールを作りました。彼女たちを私たちのワークショップに招き、実際にトリポールが鳥を救っていると

船酔いにもかかわらず、Clemensは漁民の信頼を築いた海で過ごした時間は価値のあるものだと信じています。「もしあなたは3万羽の海鳥を救っているのですよ、と誰かに言われたら、‘すごい、大したものだ’と思うでしょう。」

 

報告者: Shaun Hurrell

 

 

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