熱い想い

ホノオフウキンチョウ © HIH Princess Takamado

「レンズを通して」婦人画報誌2026年10月号

写真・文=高円宮妃久子殿下
協力[画像編集]=藤原幸一(NATURE’S PLANET) 編集=桝田由紀(婦人画報)、バードライフ・インターナショナル東京

 

先月号でご紹介したように、今年6月、FIFAワールドカップ観戦のために北中米を訪問いたしました。滞在したモンテレイとダラスでは、地域の生態系や環境保全への取り組みについての説明を受け、屋外を散策しながら鳥の撮影を行いました。今月号では、鳥の写真を少しでも多くご覧いただこうと、欲張って掲載しております。それぞれの鳥の解説はキャプションに収めました。

ホノオフウキンチョウ © HIH Princess Takamado

ホノオフウキンチョウ 18cm ショウジョウコウカンチョウ科
メキシコを中心にアメリカ南部、コスタリカ、パナマまでの常緑林で留鳥。
果実や種子を食べるところを撮りたかったが、撮影時には昆虫ばかり捕食。2本の白い翼帯が目立つ。
© HIH Princess Takamado

 

まず「モンテレイ」からご紹介します。地名が紛らわしいのですが、滞在したのはカリフォルニアのモントレー(Monterey)ではなく、メキシコのヌエボ・レオン州にあるモンテレイ(Monterrey)です。前ページ(web上では上の写真/下のチョウの写真3点)とこのページの写真(web上では下の鳥の写真3点)はすべて、モンテレイのチピンケ・エコロジカル・パークで撮影しています。1992年に開園した1791ヘクタールに及ぶこの保護地区は、シエラ・マドレ・オリエンタル山脈にあります。さまざまな条件が豊かな生態系を育み、多様な生き物が生 息していることで知られています。絶景が楽しめる山頂の標高は約2200メートル。街中の39℃より気温は涼しかったものの、日差しは痛いほど強烈でした。

ドウイロキヌバネドリ<br />
© HIH Princess Takamado

ドウイロキヌバネドリ 30cm キヌバネドリ科
アメリカのメキシコ国境付近からメキシコの森林、渓谷に生息。北部の一部は冬、南に渡る。柔らかく密生した美しい羽をもつ。昆虫、トカゲなどを捕食する。
© HIH Princess Takamado

 

クロエボシガラ<br />
© HIH Princess Takamado

クロエボシガラ 17cm シジュウカラ科
アメリカのテキサス州中西部からメキシコ東部の比較的限られた地域の森林に分布する留鳥。樹木のウロに営巣。メイクをしたような目と冠羽が印象的。
© HIH Princess Takamado

 

オリーブヒタキモドキ<br />
© HIH Princess Takamado

オリーブヒタキモドキ 17cm タイランチョウ科
アメリカのアリゾナ州南部から、メキシコ、南米北部までの森林で主に留鳥。枝で待ち、飛んで来る昆虫を「フライキャッチ(空中捕食)」する。
© HIH Princess Takamado

 

特に驚いたのが、マツの種類の多さです。ガイドさんによると、世界に約110種類あるマツの仲間のうち、半分近くがメキシコに生息しているのだそうです。また、そこかしこを舞うチョウの姿も強く印象に残りました。鳥を撮らなければと焦りつつも、チョウの美しさと種類の多さに、思わず何度もシャッターを切ってしまいました。

パラメデスアゲハ<br />
© HIH Princess Takamado

パラメデスアゲハ(Papilio palamedes leontis/アゲハチョウ科)。メキシコ北東部など限られた地域に分布。
© HIH Princess Takamado

 

メキシコトラフアゲハ<br />
© HIH Princess Takamado

メキシコトラフアゲハ(Papilio alexiares garcia/アゲハチョウ科)。黒色個体はメスのみに見られる。
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〈左上〉カレフェリス属 〈右下〉キジマドクチョウ<br />
© HIH Princess Takamado

〈左上〉カレフェリス属(genus Calephelia /シジミタテハ科)。ヤナギトウワタの花を吸蜜。
〈右下〉キジマドクチョウ(Heliconius charithonia vazquezae /タテハチョウ科)。毒チョウ。蜜を吸うだけでなく、花粉も食す。他のチョウより長生き。
© HIH Princess Takamado

 

一方、左の写真(web上では下の写真)はすべて、ダラスの「トリニティー・リバー・オーデュボン・センター」で撮影したものです。こちらでは、カラフルなノジコの仲間をはじめ、多くのトキやサギの姿を観察できました。2008年に開設された同センターは、かつて不法投棄地であった場所にあります。再生された生息環境は、「低地広葉樹林」、「湿地・池」、そして「ブラックランド・プレーリー(草原)」です。ダラス中心部から車でわずか10分。約48ヘクタールの敷地には、いくつもの歩きやすいトレイルがあり、市民が気楽に立ち寄れる場所です。多くの研究調査や保全活動が推進され、学校プログラムなども充実しています。

エボシガラ<br />
© HIH Princess Takamado

エボシガラ 16cm シジュウカラ科
アメリカの東半分が主な分布域で、カナダのオンタリオ州南部、メキシコ北東部になどでも見られ、留鳥。
落葉・混交林に住み、樹洞に営巣。首を傾げた姿が可愛い。
© HIH Princess Takamado

 

アメリカササゴイ<br />
© HIH Princess Takamado

アメリカササゴイ 44cm サギ科
カナダ南部から、アメリカ、中米、カリブ諸島、コロンビア、ベネズエラまで分布。北部の一部は冬に南に渡る。水辺に棲む。枯葉や昆虫を水面に落として、魚をおびき寄せる「釣り」行動で知られる。
© HIH Princess Takamado

 

ルリノジコ<br />
© HIH Princess Takamado

ルリノジコ 12.5cm ショウジョウコウカンチョウ科
アメリカとカナダ東南部の開けた林で繁殖し、冬はメキシコ、中米や西インド諸島で越冬。日本のオオルリを想起させる姿。
© HIH Princess Takamado

 

ゴシキノジコ<br />
© HIH Princess Takamado

ゴシキノジコ 13cm ショウジョウコウカンチョウ科
アメリカ南東部、中南部で繁殖し、冬季は南フロリダ、中米に渡る。林縁、やぶ地に生息する。
一見派手だが、草むらや落ち葉、木漏れ日に体の輪郭が溶け込み、保護色となる。
© HIH Princess Takamado

 

〈右〉シロトキ<br />
〈左〉サンショクサギ<br />
© HIH Princess Takamado

〈右〉シロトキ 65cm トキ科
北米中南部からメキシコ、中米を経てベネズエラまでの南米に分布。冬、北部の一部は南に渡る。
海岸などのマングローブ林でコロニーを作り繁殖。
〈左〉サンショクサギ 56cm サギ科
カナダ南部からアメリカ、中米を経てチリ、ブラジルの海岸に分布。冬に北部の一部はフロリダ、中南米に渡る。白い冠羽や飾り羽が美しい。
© HIH Princess Takamado

 

私が名誉総裁を務める「バードライフ・インターナショナル」は、世界約120カ国のパートナー団体と繋がっています。モンテレイではメキシコのパートナーである「プロナチューラ」に、そしてダラスでは北米のパートナーである「全米オーデュボン協会」のガイドさんに案内してもらいました。また、現在、取り組んでいる活動や直面している課題などについても話を聞くことができました。

愛する自然と生態系を守ろうとする彼らの情熱は、スタジアムで声援を送るサポーターの熱気にも勝るとも劣りません。日本サッカー協会とバードライフ・インターナショナル、両者の名誉総裁を務める私にとっても、その「熱い想い」に強く胸を打たれる訪問となりました。

 

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