海鳥追跡データベース、遂に1千万箇所に

1千万箇所に達した海鳥追跡データベース 資料提供: © David Grem

今日私たちは、「世界海洋の日」を祝うと同時に、海鳥の貴重な追跡調査データベースが遂に1千万箇所に達したことを祝福します。この国際協力の朗報が科学者と政策立案者の海鳥への理解をどのように深め、保護を可能にしていくかを考えてみてください。

海鳥の渡りの旅は、信じられないほど壮絶です。例えばキョクアジサシは毎年南極と北極の間を何と8千万キロを超える旅をし、多くのミズナギドリ類やトウゾクカモメ類は大きな海全体をまたぐ数万キロの旅をすることが少なくありません。異なる学者、研究機関あるいはNGOが地元のデータを集め、限られた予算内で自身の海洋の一部を守るので、このように渡り性の高い鳥を保護することは。困難を極めます。

保護活動家は情報を共有する場がなければ全体図を見失わざるを得ません。なぜ「海鳥追跡データベース」が重要なのかはこの点にあるのです。世界最大の保護活動の共同作業の一つとして「海鳥追跡データベース」は2003年にバードライフにより確立されました。その時は、生息地をはじめとする重要地の特定と確実な保護を目指し、16種のアホウドリ類とミズナギドリ類のデータが初めて統合されたのです。

データ地点No.10,000,000(1千万)のオオフルマカモメ
写真提供: © David Osborn

アホウドリ類からペンギン、ミズナギドリ、カモメ類まで、現在では追跡データベースには120を超える研究機関(バードライフとそのパートナーを含む)および170人以上の科学者からの海鳥のデータが集まっています。ゴウワタリアホウドリとヨーロッパミズナギドリなどの絶滅危惧ⅠA類の種やその他36種の世界的絶滅危惧種のデータは定期的にデータベースに登録されています。合計するとこのデータベースには1千万箇所を超える地点の113種の情報があります。

このデータベースの共同的な性質のシンボルである1千万番目のデータ地点はDr. Jacob González-Solís(バルセロナ大学)、Dr. Peter Ryan(ケープタウン大学)の二人の寄贈者の持つデータセットからのものでした。この1千万番目のデータ地点はアルゼンチンからオーストラリアまでの驚くほど広範囲の分布域を持つ海鳥オオフルマカモメのものでした。

「何人かの海鳥専門家のデータの共有がなければこの独自の保護活動資料は存在すらしえなかったでしょう。」とバードライフの海洋科学上級オフィサーのMaria Diasは言います。

いくつかの種は他の種よりもひときわ多くの注目を集めています。オニミズナギドリ、マユグロアホウドリ、ミツユビカモメ、シロカツオドリに関する情報提供が最も多く寄せられました。最も長期にわたって追跡調査が行われたのは1羽のゴウワタリアホウドリの幼鳥のみで、その5回の追跡から驚くような分布域が示されました。

ではこのデータベースはどのように海鳥の保護に役立つのでしょうか?

「世界海洋の日」の今年のテーマは「我々の海、我々の未来」ですが、私たちにとって海鳥が行った過去の旅を振り返ってみることで海における特別な場所が分かり、これからの保護活動を伝えてくれます。

勿論、私たちは科学の名の下で単にデータをため込んでいるだけではありません。データ収集は海鳥の秘められた生活・生態を解き明かす以上のことに役立ちます。データセットは、海鳥の混獲問題との取り組みから海洋保護区の指定に及ぶ私たちの海洋活動の多くを支えることを可能にするのです。

2016年以後だけでも90種以上の海鳥の特別なサイトを保全するために、大西洋北東から南極半島までの間に100を超えるマリーンIBAが明らかにされました。海鳥追跡データの利用によって、多くの重要地点を発見することができたのです。

「異なるチームにより、幾つかのコロニーにおいて、複数の種に対して集められたデータセットに参加することで、海鳥が直面する重大な保護問題に取り組む上で包括的アプローチを取ることが可能になる」とバードライフの海洋技術オフィサーのAna Bertoldi Carneiroは言います。

最も情報提供が多かった種の一つオニミズナギドリ
写真提供: © Ben Lascelles

2016年1月、私たちは具体的な例を求めてセネガルの暑く多忙なバードライフのダカール事務所へ赴きました。MAVA基金の支援を受けた西アフリカで最重要な海洋サイトを特定することを目的とする「Alcyonプロジェクト」の最終年度です。この時点でほぼ全ての追跡データセットが「海鳥追跡データベース」に安全に収められていました。

しかしたった一つだけ、欠けていた点がありました。それは、この地域の海鳥の採餌のホットスポットを正確に把握するための数千カ所の鳥の位置情報の解析です。そしてこれも努力が実を結びました。13カ所の新しいマリーンIBAが特定され、別の4ヶ所がケープベルデオオミズナギドリなどの地元でよく知られた種やキョクアジサシとオオトウゾクカモメを含む北から南への壮大な訪問者のために更新されました。

北へ数千キロ飛べば、そこで私たちはキョクアジサシが長距離の渡りの途中で他の数百万羽の海鳥と共に休んでいるのを見ることができるでしょう。60人以上の海鳥学者の協力を得て特定された「Evlanov海山&海盆マリーンIBA」にようこそ。ここには絶滅が危惧されるニシツノメドリ、バーミューダミズナギドリ、フルマカモメ、マデイラミズナギドリなど20種以上もの海鳥が生息しています。

このエリアにはヨシキリザメ、アオザメ、タイセイヨウクロマグロ、オサガメ、イワシクジラなどの海洋における最も象徴的な生物も頻繁に現れます。このサイトはマリーン保護区(MPA)を宣言することが提案されており、もし受諾されれば海鳥追跡データを主な証拠として利用した公海における初めてのMPAになるでしょう。

最後はペンギンです。バードライフは彼らの苦境に対する関心を高めていて、今年最も注目している海鳥です。けれども実際には私たちは何年も前に活動を始めています。「英国大西洋調査」や数人の科学者との共同作業と、英国政府の「ダーウィン・イニシアティブ」と「ピュー慈善財団」の支援を得て、私たちは昨年南極半島で繁殖する3種についての追跡データを集めました。

その結果はジェンツーペンギン、ヒゲペンギン、アデリーペンギンの海洋サイトのネットワークとなりました。それはこの冷たい海域では初めてのものです。

1千万箇所というのは素晴らしい数字ですが体制を緩める暇はなく、これらの活動はまだ始まったばかりです。科学者は海鳥保護のためにさらに情報を集め続けます。今後また多くの海鳥のホットスポットが見つかると思われますが、私たちはまず初めに既に明らかにされたこれらの特別なサイトの保全と管理を主張しなければなりません。

報告者: Maria Dias

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