フィンランドの鳥のほぼ半数が危機に

フィンランドのキンクロハジロの個体数が近年急減しています。
写真提供: Michael Finn

フィンランドの鳥の45%が危機にあります。

これは1月に発行されたフィンランド版‘鳥類レッドリスト’の分析によるものです。今回評価されたフィンランドで繁殖する245種のうち、13種(5%)が絶滅危惧ⅠA類、36種(16%)が同ⅠB類、38種(16%)が同Ⅱ類に分類されています。

絶滅危惧種の数は前回の査定よりも増加しています: 2010年には59種(24%)が絶滅危惧ⅠA類~同Ⅱ類、30種(13%)が準絶滅危惧種でした。2000年の72種、2010年の89種(約36%)から増加して、今回は110種(45%、全てフィンランドで繁殖する種)がレッドリストに掲載されました。これらの種の個体数減の主因は繁殖地および渡りのルート上の中継地での環境の変化です。

水鳥と湿地の鳥の状況が最も憂慮すべき状態にあります。フィンランドで繁殖する水鳥の半数とシギ・チドリ類のほぼ半数が現在危機にあるとされています。キンクロハジロ、シマアジ、ヒドリガモ、オナガガモがこの数十年で急減しました。

湿地は鳥にとって繁殖のためだけに重要なのではありません: 湿地は多くの水鳥、シギ・チドリ類、スズメ目の鳥にとっても渡りの中継地として大切です。ところが、多くの湿地が資金不足による管理の不行き届きにより鳥にとってあまり好ましい状態ではなくなってしまいました。バードライフ・フィンランドは長年、フィンランド政府に対して湿地保護区の管理の改善に取り組むように求めて来ましたが、ほとんど成功していません。

状況は自然保護活動家やバードウォッチャーだけではなくハンターにとっても憂慮すべき状態です。フィンランドで狩猟の対象になっている17種の水鳥のうち11種が個体数の減少によりレッドリスト入りしているのです。その内訳は6種が絶滅危惧ⅠB類、4種が同Ⅱ類、1種が準絶滅危惧種です。フィンランドで持続可能な方法で狩猟が出来る種はほとんどありません。

けれども全く希望が持てない状態というわけではありません。継続的な保護活動の対象になっている種では個体数が増えてきているのです。たとえば主要な繁殖地での保護活動のお蔭で、イヌワシ、オジロワシ、ハヤブサ、オオアカゲラは個体数が増え、ハマシギも少ないながらも個体数が安定しています。良好な管理と資金のある湿地の鳥の状況は、資金不足のものに比べて改善しています。

これらの結果は、フィンランド政府がこれまで生物多様性の喪失を止めるために十分な活動をしていなかったことを示しています。鳥と自然全般の状況のさらなる悪化を止めることは、農業、林業、土地利用およびレクリエーション活動における生物多様性への配慮につながります。保護区の管理改善も必要ですが、湿地性鳥類の状態回復のための資金の増加と政治的意思によってのみ達成が可能なのです。

 

報告者: Sanya Khetani-Shah and Teemu Lehtiniemi

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