違法なペット取引でキエリボウシインコの未来に危機

キエリボウシインコは通常数百羽が群れでねぐらにつきます。 写真提供:© Ondrej Prosicky / Shutterstock

雛のうちに巣から捕らえられた鳥たちは、輸送中に命を落としていきます:キエリボウシインコの野生個体数は違法なペット取引で絶滅の危機に瀕しています。もし、あなたがこの利口で華やかな鳥に未来を与えたいのであれば、手遅れにならないうちに行動を起こすことが必要です。

キエリボウシインコのペットとしての世界的な人気が、個体数の急激な減少につながっています。この緑色に輝くオウムは、その発声能力とものまねの能力で有名です。また、飼育下では、人間の言葉を真似し、60年、時には90年も生きることが出来ると言われています。ペットのアドバイスを提供するウェブサイトでは、この鳥の「外向的な性格」、「遊び心」、「飼い主との絆を深める能力」について紹介されており、数千ドルで売買されています。それでも、もちろん、今、ケージに入れられている鳥は、野生(雛または子孫のいずれか)のものであり、このような特性は、中央アメリカとメキシコ南部に集まっていた何百もの個体の社会的ねぐらで、黄色いうなじを点滅させ(首の後ろ)ながら、熱帯林やマングローブ林で果物や種子を食べて、進化したものです。

本種は2017年に絶滅危惧ⅠB類に格上げされましたが、より最近の個体数調査の示す壊滅的な減少から、近い将来絶滅危惧ⅠA類に再格上げされる可能性があります。1980年代と19990年代には南部グアテマラでの個体数は30,000~50,000羽でしたが、2019年には同じ地域で500羽以下が観察されただけで、これは実に約99%の減少で、野生の成鳥の個体数は今や世界中で1,500~1,600羽が残されているだけと推定されています。

本種の生息域全体での極端な減少は、持続不可能なレベルでのペット取引のための密猟と断続的な生息地の破壊が原因です。多くの場所で、巣荒らしにより、ほとんど或いは全ての繁殖活動が失敗していると言われています。これは将来の繁殖にも影響を及ぼします。雛を捕まえる時に樹木の損傷を与えると、巣立ちの際にその木を使えなくなってしまうのです。

ラテンアメリカでは、国内法や国際通商協定(本種はCITESの付表1に掲載)があるにもかかわらず、毎年数十万羽の野生のオウムが密猟で捕らえられ、取引されており、しかもその75%ほどは捕獲および輸送時に死んでしまいます。メキシコだけでもその数は、毎年50,000~60,000羽に上ります。ニカラグアでのキエリボウシインコの取引禁止措置の導入は、減少に歯止めがかかったのではないかと示唆されていますが、かつては大きな個体数を有していた場所でも、今では僅かしか生息していないところもあります。コスタリカは「強力な」と言うほどではありませんが、今では本種の重要拠点になっています。

これらのペット販売のウェブサイトは、一部の(特にオスの)キエリボウシインコが攻撃的になる可能性があることも警告しています。彼らの野生の仲間が直面している悲惨な将来を前にして、誰が彼らを責めることが出来るでしょうか?

報告者:Shaun Hurrell

 

 

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