黄海の干拓が渡り性シギ・チドリ類の激減の原因に

黄海の干拓が世界的に絶滅が危惧されるオバシギへの主な脅威になっている。
写真提供: (c) Zhang Ming

シベリアとオーストラリアの間を渡る3種のシギ・チドリ類の急激な減少が中国の黄海沿岸の干拓によることが詳細な研究から明らかになりました。

 “Journal of Applied Ecology”誌に発表された研究によって、東アジア・オーストラリア・フラウウェイ沿いに渡り黄海の干潟を栄養補給に利用する3種のシギ・チドリ類の20%が減少したことが明らかになりました。その3種とはコオバシギ、オバシギ、オオソリハシシギで、いずれもシベリア北東部の異なる地域に営巣しますが、3種ともオーストラリア西部で越冬し、黄海を渡りの中継地としています。

数千羽の鳥に足環を装着して、科学者の国際チームが2006年から2013年までの間のこれら3種の年ごと、季節ごとの生存率を計算しました。繁殖地と越冬地における生存率には変化がありませんでしたが、2010年以後渡りの度に大きく減少していることが分かりました。

Theunis Piersma教授(王立オランダ海洋調査研究所)に主導された研究チームは、この現象の原因は干拓に起因する黄海の干潟での生息地と食物の喪失によるとの結論を出しました。1990年から2013年までの間に黄海沿いの浅海と干潟の面積は毎年4%縮小し、喪失率はこの間に2倍に達したのです。

Piersma教授は「この調査は黄海周辺での土地の干拓が多くの渡り鳥を危険に晒していることを証明しました。」と述べています。教授は、干拓が続けば「今後3~4年以内にシギ・チドリ類は更に半減するでしょう。これ以上の減少を止めるために、干拓事業を直ちに止めねばなりません。」と付け加えました。

「世界中でシギ・チドリ類の個体群は減少しており、彼らの生息地は土地利用の変化などによる人が原因の圧力を受けていますが、中でも黄海での生息地の喪失はとくに憂慮すべき状態にあります。」とバードライフのAde Longはコメントしています。

 

報告者: James Lowen

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