英国の鳥の4分の1以上に‘最高度の保全上の懸念’

英国の244種の鳥のうち、有名なニシツノメドリを含む67種が高い脅威を受けている
写真提供: Andy Hay/RSPB-images

「この報告には良いニュースと悪いニュースがあります。英国の鳥の個体群の状況が悪化していることに落胆するのは簡単ですが、むしろ重要なのは、もし私たちに知識と支援があれば事態を好転させることが出来るということです。報告書‘保全上懸念のある鳥’にはすべての最新の知見が集められ、保全活動が最も必要な種のための対策を始める助けになるでしょう。」とこの報告書の作成を共同で行った組織WWT(Wildfowl and Wetlands Trust: 英国水禽湿地協会)のモニタリング責任者のRichard Hearnは言いました。

RSPB(英国のパートナー)を含む英国の主導的な野鳥保護及びモニタリング団体が共同で編集した報告書‘保護懸念のある野鳥 4’によれば、英国の244種の鳥のうち4分の1以上に現在‘最高度の保護上の懸念’があります。

この67種という数は2009年に行われた前回の査定で52種(21%)がレッドリストに掲載された数を上回るものです。今回の改訂版レッドリストにはダイシャクシギ、ニシツノメドリ、サヨナキドリなどのさらに多くのよく知られた鳥が含まれていますが、そのほとんどが今回初めて登場する種です。これらの種に加えて今回コキジバト、カッコウ、ホシムクドリなどの他の身近種も危惧種に加わりました。アリスイなどの他の2種は査定されませんでしたが、それは英国で繁殖しなくなってしまったからです。

これらの種のほとんどが、この数十年で英国内で半減するなどの個体数の激減が理由でレッドリストに掲載されました。その他の種でも以前に比べるとはるかに低かったり、世界的に絶滅の危惧があると考えられています。

「今回のアップデートでは、英国の野生生物が減り続けていることがよくわかります。ダイシャクシギ、ツノメドリ、サヨナキドリなど人々に愛されている種が英国で保護懸念が最も高い種にランクされたことは身の毛もよだつような出来事です。」とRSPBの自然保護ディレクターのMartin Harperは言いました。

報告書‘保護懸念のある野鳥 4’では英国本土、チャンネル諸島、マン島に通常見られるすべての鳥の状況をレビューしています。それぞれの種が客観的な基準に従って評価され、保護懸念の度合いを示す緑、黄色、赤に色分けされて掲載されています。

「私たちは楽観的でなければなりません。今回の結果は、問題の原因が突き止められ、解決策が明らかになり、そして保護活動の目標が定まり、適切な資金が得られれば、私たちは種を危機から救い出すことが出来ることを示しているのです。」と彼は付け足しました。

今回の査定結果の中には間違いなく良いニュースも含まれており、目標を定めた保護活動が実際に違いをもたらすことが出来ることを示しています。サンカノゴイ、ヨタカ、ハマシギの3種が個体数の増加によりレッドリストから外されて、それよりも危惧度が低い黄色リストに加えられたのです。

サンカノゴイは、1997年には英国では繁殖可能なオスが11羽記録されただけになり、英国での2度目の絶滅に向かっていました。生息地改善の取り組みとEUのLIFEプログラムの二つのプロジェクトからの大きな資金支援のおかげで今年150羽の繁殖可能なオスがイングランドとウェールズで記録されましたが、これは19世紀初め以来最も多い数でした。またアカトビとヒバリを含む22種が黄色リストからグリーンリストに移されましたが、これらの種の保護懸念が最も低いレベルになったことを意味します。

 

報告者: Sanya Khetani-Shah

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