初めてのアカハラサギの保護計画が発表された

IUCNのレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類とされているアカハラサギ
写真提供: V Rufray/GEPOG 2013

アカハラサギは夜行性で目につきにくい種です。生息地は中南米の広い範囲に及んでいますが、観察が難しいために食性、繁殖地、採餌場所や非繁殖期の生息地など詳しいことが何も分かっていません。また本種の総個体数に関する情報もあまりありません。けれども2,000ペアもの巨大なコロニーがフランス海外領で最大のフランス領ギニアの熱帯雨林にあるKaw-Roura湿地にあります。

私たちにわかっているのは、アカハラサギはIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に評価されており、今後の3世代のうちに個体数が急減すると予想されていることです。フランス領ギニアのコロニーは世界で知られている繁殖個体数の90%以上を占めています。

鉱山採掘や木材切り出し(森林破壊につながる)、道路の新設(特に人口密度が高い沿岸地帯)、この種そのもの及び保全の優先事項に関する知識不足が、個体数の減少と生息地の劣化につながっています。更に悪いことに、EUの自然法の柱とも言うべき野鳥指令と生息地指令は加盟国の海外領土には適用されません。

この状況を改善するために仏領ギニアのGEPOG(仏領ギニアの鳥類保護協会)がLIFEプログラム(EUが自然保護に対して資金支援する仕組み)の一環として2011年から2015年にかけてアカハラサギ保護の研究を行っています。データは衛星追跡装置を装着した8羽のアカハラサギをモニタリングすることにより得られました。2015年9月にヘロン・コンサベーション(IUCN内のサギ類の専門家グループ)と世界中のその他の支援者との共著による初めてのアカハラサギ保護計画が公表されました。

この計画の目的はアカハラサギの保護と管理およびその生息地を、不十分な法的保護、森林破壊、都市化、気候変動に伴う海面上昇、人の活動と攪乱から守るための広範囲な枠組みを提供することです。

同計画は全体および地域レベルで最も大切なコロニーや、それらの個体群が利用する採餌場所の発見など本種に関する知見を蓄積するための調査やモニタリングを推奨しています。また撹乱による影響を見極め、それらのコロニーへの影響を減らし、保護対策を講じること、本種の分布に関する理解を深めること、彼らの採餌習性、獲物および採餌・繁殖サイクルをより理解することを推奨しています。

しかし、この計画は単に本種を将来の保護のためにもっとよく知っておこうというだけのものではありません。今すぐ始める必要がある様々な保全策も含まれています。例えば、重要なコロニーでの個体数モニタリングを円滑に行うためのアカハラサギ・ワーキング・グループ(AHWG)の創設、繁殖地、採餌場所、渡りの中継地の保全、本種の生息域内のマングローブ林の保全、営巣時期以外でのアカハラサギが多数集まる生息地の確認、コロニーの付近の住人に本種の重要性と保護について教育キャンペーンを進めることなどが含まれます。

最も大切なのはこの計画に参加する保護団体が10年ごとに計画の見直しを行うことで、保護の状況とニーズについて常に新しい情報を把握できるように図られていることです。

 

報告者: Sanya Khetani-Shah

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