地中海地域での鳥の密猟の程度がバードライフの報告で明らかにされた
バードライフの地中海地域における鳥の密猟に関する初めての報告書が発行されました。そこには同地域の多くの種が受けているショッキングな死亡数が明らかにされています。
違法な射撃、罠、鳥もち: 同報告書では毎年2,500万羽の鳥が違法に殺されていると推定しています。バードライフ・パートナーの助けを得て、毎年最も多くの鳥が殺されている10の地中海地域の国のリストが編集されました。同報告書は保護活動をステップ・アップすることが必要な地域を明らかにしています。
シリアやリビアなど現在紛争が起きている国は高いランクにありますが、幾つかの欧州の国でも高いランク付けをされているところがあります。イタリアはエジプトに次いで毎年多くの密猟が行われていると推定されています。一方、キプロス共和国のファマグスタ地方は同じ基準で評価すると地中海地域の中で一地方としては最悪です。
トップ10となっている他の欧州の国ではギリシャ、フランス、クロアチア、アルバニアが挙げられます。トップ10にはなっていませんが、マルタ共和国は面積当たりの密猟数が地域最大です。
バードライフにとって、同報告書は欧州委員会で現在審査が行われているEU野鳥指令が再検討ではなく、実行されることが何故望ましいかを示すものです。
同報告書は地中海地域全体で用いられている一般的な方法の幾つかを明らかにしています。それには違法射撃、カスミ網猟および違法な罠を置いた場所に鳥をおびき寄せるための鳴き声の録音などが含まれています。鳥を木の枝にくっ付けてしまう鳥もちなど、多くの残酷な方法は鳥が死ぬまでの間に相当な苦痛を与えます。
報告書に示された数字からはズアオアトリが‘密猟リスト(殺された鳥のリスト)’のトップに来て(推定年間290万羽)、これにズグロムシクイ(180万羽)、ヨーロッパウズラ(160万羽)、ウタツグミ(120万羽)が続き、トップ4となっています。報告書によればIUCN(国際自然保護連合)のレッド・リストに既に‘準絶滅危惧種’や‘絶滅危惧Ⅱ類’に登録されている種の多くも危険な状態にあります。
同報告書は‘英国バードウォッチング・フェア’がラトランド・ウォーター自然保護区において今日から(2015年8月21日)開催されることに合わせて刊行されました。そこにはバードライフが新たに行う、野鳥が最悪の影響を受ける場所の保全のために資金を集める‘フライウェイの安全を守ろう’募金運動の開始も示されています。
報告書の発刊についてバードライフのCEOパトリシア・ズリータは「この報告書は地中海地域においてむごたらしいほどの野鳥の密猟が行われていることを示しています。かつては欧州に数多く生息していた種の個体群が減少し、その数は急減あるいは姿を消している状態です。」とコメントしました。
「野鳥には安全なフライウェイが必要なのです。私たちは遅くならないうちにもっと保護活動を増加したいと思います。」とズリータは言いました。
報告書にあるデータは間もなく発表される予定の地中海地域の状況に関する総合的アセスメントを伴う論文を予告するものです。
この記事で言及された国と種の詳細についてはバードライフ本部のウェブサイトをご覧ください。
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報告者: Finlay Duncan