セルビアのニシブッポウソウにより良い日を
ニシブッポウソウはセルビアでの自然保護の新しいシンボルです。20世紀前半には本種は低地や丘陵、および同国の中央部と東部の渓谷では普通に見られる鳥でした。悲しいことに、この美しい多色の鳥は1950年代からの急速な個体数減少により近年スポットライトを浴びています。特に減少が際立つヴォイヴォディナ地方では最新の調査で17ペアしか残っていないという危機的状況になっています。鳥類学者たちは行動を起こすことを決めました。
リパリア自然愛好協会とセルビア鳥類保護研究協会(BPSSS: セルビアのバードライフ・パートナー)の専門家は計り知れない潜在力のあるパンノシアン・アルカリ草原が無駄になっていることに気が付きました。ニシブッポウソウの営巣場所が殆どないことがその原因で、巣穴があるような老木がほぼ全て伐採されたからなのです。リパリア協会のニシブッポウソウ・プロジェクトのリーダーOtto Szekeresは鳥にチャンスを与えるために繁殖用巣箱をあらゆる場所、若い木や電柱にも、急いで取り付けるべきだと言っています。
この方法は元々セルビアの北部で実施され、その後すぐに南部でも行われました: 「2003年にセルビアで初めて巣箱での繁殖が行われ、その後徐々に数が増え、2014年には147ペアが巣箱を利用しました。」とOtto Szekeresは言いました。
このような活動のすべてが非常に効果的だったことが証明されており、農家や他の利害関係者もニシブッポウソウの復活を真に前向きの動きだと認識しています。パンノシアン草原での彼らの存在は明らかで目に見えます: 繁殖期の終わりにはディスプレーを行い、渡りの時期には電線に止まっている姿が頻繁に見られます。同様に、この10年に1,200羽以上の雛が巣箱から巣立ちし、次第に採食場所周辺に残っている天然の樹木の洞でも繁殖するようになって来ました。更にニシブッポウソウ・プロジェクトは巣箱の設置や修理を積極的に行うブッポウソウ管理人グループを惹きつけました。BPSSSとリパリア協会による保護活動のレッスンと研究の大部分はMME(ハンガリーのパートナー)から学んだもので、MMEは以前から同様の活動を行っていました。
「けれども、ニシブッポウソウの個体数を安定させるためには、私たちは管理により多くの努力を注がなければなりません。もし巣箱の設置と修理を止めれば、彼らは営巣機会を失ってしまうでしょう。」とSzekeresは言っています。
このプロジェクトが成功し、長く続くためには観察ネットワークの強化と拡大、および農業・環境保護省による全面的な支援が必要でしょう。
愛鳥家や環境保護活動家は、将来はニシブッポウソウの生き残りのためにこれほどの人々の強力な関与が必要ではなくなることを願っています。
(報告者:Alessia Calderalo)
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