トルコ南部でのエジプトハゲワシと他の猛禽の初めての完全な渡り調査
黄色の嘴と美しい白色の羽毛を持つエジプトハゲワシは子育ての象徴として古代エジプトで崇められていました。悲しいことにこの威厳ある鳥は年を追うごとに幾つもの脅威が原因で数が減っている多くの絶滅危惧種の一つなのです。
トルコは世界で最も多くエジプトハゲワシの繁殖個体群が生息する数少ない国の一つで、その数は1,000~3,000ペアと推定されています。トルコのバードライフ・パートナーDoğa Derneğiは本種を保護すべき責任を承知しており、トルコにおけるエジプトハゲワシの保護状況を査定するための調査を開始しました。本種は繁殖域が広いためにトルコ内での個体群の規模をモニターするのが困難で、生息地の全てを見つけるのには多くの人手を要するので、Doğa Derneğiとバードライフの英国パートナーRSPBのチームは別のアプローチによりトルコ南部で初めての完全なエジプトハゲワシの渡りの調査を行いました。
8月16日から10月16日までの間、同チームは渡りのボトルネックであるイスケンデルン湾の付近で渡りを行うエジプトハゲワシや他の猛禽の数をカウントしました。中東鳥類学会(OSME)が一部の資金を支援したこのプロジェクトにより130,347羽の猛禽がこのエリアを通過したことが分かり、その中には47,594羽のアシナガワシが含まれ、この数は現在推定されている世界の個体数の95%以上です。
今年の調査は、エジプトハゲワシや他の猛禽を将来推測する時に比較ができる貴重な基本データとなるので、トルコの鳥類学者や野鳥愛好家にとって大きな前進です。けれども、この調査が本当に将来効果が出るようになるためには少なくとも今後10年間は渡りのモニタリングが必要です。もし毎年実施されれば、調査は多くの種の傾向を理解する上でのしっかりとした情報を提供し、科学的証拠に基づく効果的な保護方法を作成するために役立つでしょう。
(報告者:Alessia Calderalo)