EUは今米国南部の森林に対する最大の脅威なのか?
‘行動の日’に合わせて米国全土からの数千人の人たちが米国南部の森林を保護する呼びかけを行うために集まっています。バージニア州では人々が木材製品業界の会議で行動を起こしており、Twitterは#SOSForestsのメッセージで埋め尽くされ、一万を超える誓約がすでに政治家に送られています。ではこれに対してヨーロッパで私たちは何をしなければならないのでしょうか?
これらの米国市民はEUの政策決定者に米国南部の森林伐採を加速させるEUのエネルギー政策の変更を訴えているのです。この地域にはすでに20の木材ペレットの工場があり、33の新工場が計画されており、そのための新しい港も建設中です。これらのすべてがEUでのバイオ燃料の需要により進められているのです。
EUの再生可能エネルギー政策にはEUの2020年目標を達成するために用いる木材や他のバイオマスの種類について何も定められていません。その結果、英国、オランダ、ベルギーなど自国の領土や近隣の海にバイオマス資源がほとんどないEU加盟国は北アメリカからの木材ペレットの輸入を増加させ始めました。これは樹木が伐採され、ミルに持ち込まれ、ペレット化され、気候温暖化削減の名のもとに燃やされるだけのために大西洋を越えて輸送されることを意味します。
気候変動は米国の森林に生息する野生生物にとって2重の脅威になったように思えます。バードライフの米国パートナーのオーデュボン協会は大規模な新調査による驚くべき結果を公表しました。オーデュボン協会は北アメリカの鳥のほぼ半数に当たる314種を、地球温暖化により著しい脅威を受け、2080年までに絶滅の危機に面する種であると分類しました。逆説的ですが、これらの種にとって重要な生息地が気候変動に対処するための間違った計画による試みにより破壊されているのです。米国南部の沖積層低地森林は北アメリカに残された数少ないもっとも多様性の富んだ森林で、オオグロアメリカムシクイやオウゴンアメリカムシクイなど少なくとも30種の保護懸念種が生息しています。しかし、この森林とそこに生息する野生生物にはこの地方のペレット産業の開発による脅威が増大しているのです。
気候変動との戦いが森林やそれに依存する大きな多様性を犠牲にすることを意味する必要はありません。科学的証拠と理解が木材によるバイオ・エネルギーが実際には必ずしも気候変動との戦いで私たちを助けるわけではないことを示していることから、このような犠牲はむしろ無意味である可能性があります。
幸いに、2020年から2030年までのEUの新しい気候・再生可能エネルギー政策が現在協議されているところですので、私たちにはバイオ・エネルギーの使い道を持続可能なものにするチャンスがあるのです。
バードライフ・ヨーロッパはオーデュボン、他の自然保護団体および数千人の米国市民による‘南部の森林を守ろう’という呼びかけに合流し、EUの政策決定者に対してエネルギーのための木材とバイオマスの使用方法を制限し、保護対策を取るように求めています。
(報告者:Sini Erajaa)