ブルガリアのBSPB 電力会社と協力して鳥の感電死を起こす送電線の安全を確保
ブルガリア・ヴァルナ市の愛鳥家の素晴らしい夏の雰囲気が壊されたのは8月中旬の頃でした。夏の午後を涼しむことだけを望んでいたハイカーが、Vaglen村で29羽のコウノトリが死んでいるのを発見したのです。夏を楽しむどころではなく、彼らは危険な電柱に止まったために死んだコウノトリの悲惨な姿に直面せねばならなかったのです。
構造が良くない電柱による感電死は鳥にとって最も深刻な脅威の一つです。それはコウノトリに限らず、カタシロワシなどの絶滅危惧種を含むワシ・タカ類にも及びます。猛禽類が最も多い地域の一つで、ブルガリアのカタシロワシの半数が生息するブルガリア南東部のセーカー山地域では、25羽のカタシロワシの幼鳥に衛星追跡装置を付けた調査などにより、2009年から2013年の期間、感電死が鳥の死の67%の原因でした。
コウノトリやワシ・タカ類は樹木やビルや電柱などの天辺に止まる傾向があります。今ではより安全な電柱が作られていますが、ブルガリアの送電網を形成する電柱は鳥に危険な構造のままなのです。このような電柱がコウノトリのような渡り鳥には特に致命的で、彼らはアフリカとの間の渡りの途上で休息し採食するために数百羽、時には数千羽もブルガリアに集まります。
この問題と取り組むためにBSPB(ブルガリアのバードライフ・パートナー)は同国の電力会社と共同で活動して来ました。EVN社やENERGO-PRO社と協力して、これまでに1,100の絶縁体が取り付けられ、コウノトリだけでなくエジプトハゲワシやカタシロワシなど他の危惧種でも起きる多くの事故を避けています。また、今年の‘Natura 2000 自然保護賞’をBSPBが初めて受賞した‘ワシ・タカ類を守ろう’プロジェクトでも、BSPBはEVN社と協力して700本の危険な電線に絶縁体を取り付け、また営巣地の上を通っていた電線を地下に埋設しました。
下記のウェブサイトから電線への絶縁体取り付け作業の様子をご覧になれます。
このような取り付け作業により、既に数多くのコウノトリや猛禽類の死を減らしました。送電網を確保することは企業にも利益になります: 一羽の鳥が感電死する度に送電網の資材が損傷し、停電を起こして利用者に不快を与えます。これが電力会社が問題解決に前向きとなった理由です。例えばEVN社はBSPBと協力して、BSPBが作成した最も危険な電柱の地図に基づき、46kmに及ぶ送電線を地中に埋め、また2,740本の電柱を安全なものに改良しました。
(報告者:エロディー・カンタルーブ)