ラムサール条約COP15:世界の湿地を守るために
湿地は鳥類、そして私たちが共有する地球にとっての命綱です。2025年7月23日から31日まで、ジンバブエ・ビクトリアフォールズで開催される「ラムサール条約締約国会議第15回会合(COP15)」において、バードライフ・インターナショナルは湿地保全に取り組む地域やコミュニティと共に、清潔な水、豊かな生物多様性、そして気候変動が改善された未来を切り拓くための声を届けています。
湿地の重要性と危機
湿地は水の浄化、食料供給、洪水の緩和、炭素の貯留、そして多くの鳥や動物たちの生息地として重要な役割を果たしています。しかし1970年以降、22%もの湿地が失われ、生物多様性の喪失と地域社会の生計危機に直結しています。
バードライフが守る3つの重要な湿地
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ナトロン湖(タンザニア)
世界のコフラミンゴの75%以上が誕生する重要な繁殖地です。過去にはソーダ灰採掘計画によって消失の危機に直面しましたが、バードライフのパートナーであるNature Tanzaniaが主導した「Think Pink」キャンペーンによって開発は阻止されました。その後は、地域住民、とりわけ女性や若者によるエコツーリズムが推進されています。2025年には新たな採掘計画が浮上し、現在は再び保護に向けた地域連携とキャンペーンが展開されています。
- ヤラ国立公園(ケニア)
ビクトリア湖沿いに広がる2万ヘクタールのこの湿地は、パピルスの茂みに生息する希少なパピルスゴニオレク(Papyrus Gonolek)など、貴重な野鳥の生息地であり、25万人以上が依存する重要な生態系サービスを提供しています。バードライフのパートナーであるNature Kenyaが主導して長年にわたり保全に取り組んできましたが、2022年には一部がサトウキビ農園へ転用され、生態系の崩壊が懸念されています。現在、地域住民が法的手段や啓発活動を通じて、湿地保護に取り組んでいます。
- トゥーンダー港(オーストラリア)
オーストラリア・クイーンズランド州のモートン湾ラムサール条約湿地に含まれるトゥーンダー港は、渡り性の水鳥にとって重要な中継地であり、特に絶滅危惧種であるホウロクシギ(Far Eastern Curlew)の採餌地として知られています。国際的に保護されたこの湿地も、大規模な不動産開発計画により40ヘクタール以上が破壊される恐れがありました。しかし、バードライフ・オーストラリアと市民連合「Save Toondah Alliance」による10年にわたる草の根キャンペーンの成果として、2024年4月に開発業者が計画を撤回しました。これは鳥と湿地の大きな勝利であるとともに、市民社会の力を示す象徴的な事例となりました。
COP15に向けて
バードライフは、20以上の加盟団体と共にCOP15に参加し、世界の湿地を守るための法的保護、資金投資、革新的なファイナンス支援の必要性を訴えています。政府による取り組みを後押しし、持続可能な湿地保全の未来を共に築きましょう。
原文 “Ramsar COP15: Saving the World’s Wetlands – BirdLife International”
(本文を一部編集しました)