インドネシアで「幻のインコ」を再発見

10年以上確認されていなかったブルインコの生存を確認

 

インドネシア・ブル島のカパラットマダ山奥深くで、10年以上確認されていなかったブルインコ(Blue-fronted Lorikeet)が再発見されました。

この鳥は100年以上前に初めて記録されて以来、確認例はわずか1回しかなく、「失われた鳥(Lost Bird)」の一種と考えられていました。

2026年4月、インドネシアの登山グループ「Kanal Buru」が中心となり、American Bird Conservancy(ABC)Birdtour AsiaYayasan Planet Indonesiaのメンバーが参加した14日間の調査で、この鳥の生存を確認し、2014年以来となる初めての写真撮影にも成功しました。

 

「まだ生きていた」―感動の瞬間

 

「ブルインコを見た瞬間、涙をこらえることができませんでした。」

そう語るのは、Birdtour Asiaのガイド兼ツアーリーダー、スマラジャ氏です。

「毎日のように、この鳥が今も生きていることに感動して涙が出そうになりました。」ブルインコは、インドネシア・ブル島だけに生息する固有種で、約100年にわたり「失われた鳥」と考えられていました。 © James Eaton/Birdtour Asia

 

ブルインコは、インドネシアのブル島にだけ生息する小型のインコです。1920年代に採集された7点の標本をもとに初めて記録されました。ライムグリーンの羽、オレンジ色のくちばし、青い後頭部、とがった尾が特徴です。

その後、標本が採集された地域に近い低地や中標高の森林で多くの調査が行われましたが、この鳥は約100年もの間、確認されませんでした。科学的な記録から姿を消していたのです。その後、2014年にクレイグ・ロブソン氏とBirdquestのバードウォッチングツアーによって写真が撮影され、再び存在が確認されました。

この鳥については分かっていないことが非常に多く、2024年以降、IUCNレッドリストでは「データ不足」に分類されています。同じ年、ABC、Re:wild、そしてバードライフが進める世界的な取り組み「Search for Lost Birds」により、「失われた種」の一つとして認定されました。

それ以前は、記録が非常に少ないことから、個体数が少なく、減少している可能性があると考えられ、「近絶滅種」に分類されていました。一方で、このインコは人が入りにくいブル島の山地林の、より標高の高い場所に生息しているだけなのではないか、と以前から考えられていました。

 

新しい登山ルートが発見につながる

 

これまでカパラットマダ山の高地は人がほとんど立ち入れない場所だったため、詳しい調査は行われてきませんでした。

しかし昨年、地元の登山家たちが山頂までの新しいルートを開拓したことで、調査隊が初めて本格的な探索を行うことができました。

険しい石灰岩地帯を6日間歩き続けると、景色はコケに覆われた幻想的な雲霧林へと変わりました。鳥たちのさえずりが響く森で、ついに2羽の小さな鳥が木に止まる姿を発見します。

American Bird Conservancyの「Search for Lost Birds」ディレクター、ジョン・ミッターマイヤー氏は次のように振り返ります。

「双眼鏡で見た瞬間、それがブルインコだと分かり、興奮で胸がいっぱいになりました。」

最初は写真を撮る前に飛び去ってしまいましたが、2日後の朝、朝食の準備中に再び姿を現しました。

朝日に輝く鮮やかな緑色の羽は双眼鏡がなくても確認でき、調査隊は急いで撮影に成功しました。これは10年以上ぶりとなる貴重な記録となりました。

調査最終日の朝、調査隊はさらに2羽のブルインコを確認しました。鳥たちは花が咲く木々の間を素早く飛び回り、その際、この鳥の高く澄んだ鳴き声を初めて録音することにも成功しました。

今回の調査では、この地域に生息する珍しい野鳥であるマダンガメジロや、新種である可能性があるツグミの仲間も確認・記録されるなど、ブル島の豊かな生物多様性が改めて明らかになりました。

今回確認された鳥が何羽の個体によるものなのかはまだ分かっていません。しかし、ブルインコがブル島の標高の高い山地林に限って生息しているというこれまでの考えを裏付ける結果となりました。

バードライフのインドネシア・パートナーであるBurung Indonesiaのマルク州コーディネーター、ベニー・A・シレガル氏は次のように話しています。

「これまでのわずかな目撃記録から、この鳥は非常に限られた環境で暮らしていることが分かっています。ブルインコが直面する最大の課題は、生態がまだ十分に解明されておらず、どのような脅威を受けているのかも明らかになっていないことです。生息地では森林伐採が続いており、個体数は非常に少なく、絶滅の危険性が高いと考えられます。」

ブル島のカパラットマダ山への登山では、険しい石灰岩の地形を越え、コケに覆われた雲霧林へと進みました。© John Mittermeier/ABC

 

生息地を守るためには、みんなの協力が必要

 

「この素晴らしい鳥を未来へ残すためには、地域の人々や行政、企業など、さまざまな立場の人が協力して残された森林を守ることが欠かせません。」

こう話すのは、Konservasi Kakatua Indonesia(KKI)の保全プログラムコーディネーター、ドウィ・アグスティナ氏です。

KKIが2023年から2025年にかけて実施した調査では、森林伐採による生息地の減少や、食用・ペット目的の捕獲が大きな脅威になっていることが確認されました。

ブル島には、この島だけに生息する貴重な鳥が数多く暮らしています。しかし、森林の多くで伐採や鉱山開発が進められており、野生生物の将来が心配されています。

 

「失われた鳥」はまだ生きているかもしれない

 

今回、この鳥が生き残っていた最大の理由は、人が簡単には入れない山奥に生息していたことでした。

この発見は、絶滅寸前と考えられているアカジリムジインコやアカズボンインコなど、ほかの「失われた鳥」も、まだどこかで生きている可能性を示しています。

また、十分な調査が行われていない地域には、私たちがまだ知らない貴重な生物が残されていることを改めて教えてくれました。

今後、新しい登山ルートの整備によって人の往来が増える可能性があるため、この貴重な自然を守るには、地域の人々と協力しながら適切に管理していくことが重要です。

2度目の目撃では、再発見されたブルインコの写真撮影に成功し、その後、鳴き声の録音も行われました。 © James Eaton/Birdtour Asia

 

「もっと多くの人に知ってほしい」

 

スマラジャ氏は次のように話します。

「これからもっと多くの人に、この鳥を見て、その魅力を知ってもらいたいと思います。そして、ブル島に残された森林を守る活動にも関心を持ち、参加してくれる人が増えることを願っています。」

また、調査隊を率いたハンドコ氏は、

「今回の調査を通じて、私自身もKanal Buruのメンバーも、カパラットマダ山の鳥や豊かな自然について多くのことを学びました。この経験を地域の人たちと共有し、ブル島のかけがえのない自然をみんなで守っていきたいと思います。」

と語りました。

ブルインコがカパラットマダ山の高地で生き残っていたことは、絶滅寸前と考えられているほかの「失われた鳥」にも希望を与える発見となりました。 © John Mittermeier/ABC

原文 

(本文を一部編集しました)

Indonesia’s Blue-fronted Lorikeet found in unexplored forest

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