鳥がガラス窓に飛び込むのを防止するには
鳥はなぜ窓にぶつかってしまうのでしょうか?そして、どうすればそれを防ぐことができるでしょうか?私たちは衝突の背景にある科学的知見を調べ、衝突を防ぐために実施されている世界中のワクワクするようなプロジェクトに光を当て、俗説を一掃します。
この記事はアフリカとユーラシアの子供たちに自然と鳥の渡りの不思議について感動を与え、教育するための「スプリング・アライブ・プログラム」の一環です。
聞き覚えのある鈍い音を聞き、駆け寄り、窓に鳥型の灰色の跡を見つけた時ほど心が痛むことはありません。時には、気を失っただけで飛び去ることもありますが、そうでない時もあります。このようなことを目の当たりにするのは、一生に1-2回かも知れませんが、世界には数十億の窓があり、その分事象の数は合算されます。窓のあるバス停留所、高層ビルあるいは普通の家の側の地面に死んだ鳥が横たわっているのを見たことがあれば、これが理由だったかもしれません。
鳥はなぜ窓に飛び込むのか?
私たちには見えているのに、なぜ鳥には窓が見えないのかと思うかも知れません。鳥の目が悪いからではありません。むしろ全く反対です。鳥の目は頭の両側に付いているので、時には360度という極めて広範囲な視界があり、これは近づいてくる捕食者、ライバルあるいはパートナー候補をみつけるために非常に役に立ちます。しかし、このことは両眼がカバーする視界が相対的に狭くなり、まっすぐ前の光景に焦点を合わせるのが困難なことを意味します。
このため鳥は、窓に写った景色がその先にあるものに見え、飛び抜けられると考えるのです。あるいは彼らはガラスに反射する近くの木を見て、探索すべき全く新しいエリアと勘違いをするのです。彼らは数千年もガラスの存在しない世界で進化して来ており、人の技術の進展や都市の拡大が問題になったのは、わずか数百年のことです。
あまり知られてはいませんが、もう一つの問題は自然光ではない光です。これは夜間に渡りを行い、月や星の光を利用して飛ぶ鳥にとっては特に危険です。これらの鳥は人工の光によって方向が狂い、進路を失うかそちらに向かって飛んで行きガラスにぶつかります。この影響は、視界の悪い霧などの悪天候の時には一層強くなります。
渡り鳥は渡りをしていない時でも、留鳥に比べてガラスにぶつかる傾向が高いことが調査で分かっています。これは留鳥がガラスの構造物の位置を学び、それを避けることができるのに対し、渡り鳥はこのような光景に慣れていないからでしょう
鳥にとって最も危険な建造物は何か?
一つ目は明らかで、巨大な平面の仕切りのないガラス窓のある建物です。これらは鏡のような働きをします。もう一つの危険物は、バルコニーやビルの縁などの両側にガラスのある角です。鳥にはここが通り抜けられるように見えるのです。バス停も同様の問題を起こしますが、高層ビルはその高さが多くの鳥の飛翔ルートを妨害するので特に危険です。一般的に透明のガラスのある物は、家の窓を含めて何でも危険をもたらします。
鳥の衝突はどうすれば防げるか?
幸いにも、鳥の衝突を防ぐ方法はとても簡単です。ただ鳥に前方に何かあることを示すために、ガラスにステッカーか「写し絵」を貼るだけでよいのです。このようなステッカーは形、スタイル、色、大きさなど様々で自分の好みで作れば良いのです。想像力を働かせてください。ただし、その際には避けなければならない俗説があります・・・。
避けるべき俗説
黒いステッカーが最も見やすい:これは誤りです。
窓は外から見ると暗く見えることが多く、従って黒いシルエットは十分なコントラストを作りません。実際に鳥がぶつかった跡は、黒いステッカーのすぐ横であることが多いのです。代わりに色を使って派手にしてください。特に赤やオレンジ色は、青や緑よりも効果的であることが証明されています。
猛禽類の形のステッカーが、小鳥を怖がらせて追い払う:これは良いアイディアのように聞こえますが、残念ながら俗説です。鳥が猛禽形のステッカーを怖がって逃げるという証拠はありません。
一つの窓にはステッカー1枚で十分:違います。
鳥は木の枝の隙間などの非常に小さなスペースを通り抜けて飛ぶことに慣れているので、1枚しかステッカーが貼られていない窓には飛び込もうとするでしょう。代わりにステッカーを10~15センチ間隔で貼ることをお奨めします。「手の平ルール」に従ってください。隙間が大人の手の平よりも大きければ、鳥は通り抜けようとするでしょう。これはどのようなステッカーでも無いよりはマシということです。
ステッカーは窓の内側に:間違いです。
できれば、ステッカーは窓の外側に貼ってください。反射を防ぐのには遥かに良いからです。
ステッカーを窓に貼るのは見苦しい:とんでもありません。数えきれないほどのデザインのステッカーがあります。学校が、バス停をもっとも綺麗に飾るコンテストをやっている例さえあります。
ステッカーを窓に貼ると光が遮断される:必ずしもそうではありません。
実際にステッカーが、私たちの目に見える必要はありません。鳥は人の目では見えない光、紫外線を見ることが出来ます。紫外線は人の目には見えない光スペクトルの一つです。鳥にははっきりと見えますが、私たちには透明に見える紫外線ステッカーを販売している会社があります。この場合は、鳥の特別な視覚が彼らに利益をもたらします。
その他の方法
レース・カーテンかベネチアン・ブラインド(紐で上下するブラインド)を設置する:
これらは光が入りますが、同時に窓を鳥に見えるようにします。外出する際にはカーテン、ブラインド、シャッターを閉め忘れないように。
不要な時は電燈のスイッチを切っておく:
これは環境に(財布にも)良いだけでなく、夜行性の鳥が混乱しガラスにぶつかるのを防ぎます。これは高層ビルでも始められています。ドイツ・ボン市の郵便局タワーでは、渡りの時期には毎晩消灯しています。
もし鳥がまだ窓にぶつかり、動かずに横たわっていたら:
死んではおらず、気を失っているだけかもしれません。一時間ほど暗い箱に入れておけば落ち着きを取り戻し、野外へ飛び出して行けるほど回復するかも知れません。
都市が拡大するのに伴い、鳥がガラス窓に衝突することが益々問題になっているように思えますが、現在ではより多くのビルが鳥に安全なデザインが施されてきています。多くのオフィス、ギャラリー、学校そして動物園さえも、鳥にとって安全になるように創造性を活かして、色付きや、曇りガラス、縞模様ガラスを使っています。あなたも是非この活動に参加して下さい!
報告者:Jessica Law