論議を呼んでいるレソトの風力発電にゴーサインが出た
アフリカ南部にのみ生息するケープハゲワシは現在絶滅危惧Ⅱ類とされています。レソト高地はケープハゲワシの繁殖、塒、採餌場所として世界的に重要です。
環境影響評価報告書は、このプロジェクトによるユニークで影響を受けやすい鳥への予想される影響は‘高い’~‘非常に高い’負の重大さがあり、同プロジェクトには持続可能性がないとしています。
このような懸念に対して開発業者は緩和策を提案しており、それには鳥が衝突する危険が生じた時にタービンが自動停止するレーダーシステムを用いることが含まれています。
「現段階ではこのような緩和策がハゲワシへの危険を大きく減らす効果があるかどうかについての十分な情報がないことが問題です。」とバードライフ南アフリカの‘鳥と再生可能エネルギー’部長のサマンサ・ラルストンは言いました。風力タービンは回転していない時には電気を起こさないので、もしこのような緩和策が実施されたらプロジェクトそのものが実現可能かどうかも明らかではありません。
緩和策が効果的で導入可能かどうかを決定するためには、どの程度の頻度で、どのような高度で、どのような条件下で鳥がこのサイトを通るかについてもっと調査が必要です。レソトの環境局はこのことを承知しており、このプロジェクトにより鳥が死ぬリスクを査定するために1年間の環境クリアランス期間を設けました。同局は同時にこのプロジェクトが原因の、緩和策では解消されない環境問題が起きた時には認可を取り消す権利を持っています。
「環境局の局長ダナエ氏がこのプロジェクトがハゲワシに深刻な危険を及ぼす可能性があることを認識しているのは嬉しいことです。私たちは今回の決定は開発業者のニーズと保護活動家の懸念の間に妥協点を見出すための試みだと理解しています。」とラルストンは言いました。
しかしバードライフ南アフリカはレソト政府が発令した環境クリアランスの決定には手続き上の欠点があり、国際的に認められている予防原則にも合致していないと懸念しています。
「‘決議記録’により求められている追加調査は承認が出る前に終わっているべきものです。この情報は決定前に知らされなければなりません。」とラルストンは言いました。また、プロジェクトの成果に利害関係者が満足しなかった場合、彼らが追加報告に情報を与えたり償還を求めたりする機会を持ち続けることについての保証がありません。それ故、バードライフ南アフリカとそのパートナーは今回の決定を見直すことを求めました。
バードライフ南アフリカは私たちが再生可能エネルギーか鳥の保護かの二者択一をしなければならないとは考えていません。エネルギー開発業者、環境コンサルタント、政府および鳥の専門家と共同で活動を行うことにより、再生可能エネルギーが真に持続可能な方法で開発されることを確実にすることがバードライフ南アフリカの目的なのです。
(報告者:バードライフ・南アフリカ)