マレーヒレアシ最後の拠点に迫る脅威
バングラディシュのサンダーバンズは絶滅危惧ⅠB類のマレーヒレアシ最後の個体群の一つの生息地であり、この極めて絶滅の恐れの高い種にとって安全な場所であると考えられています。自然保護活動家は今サンダーバンズのマレーヒレアシの未来に懸念を抱いていますが、それはここに石炭火力発電所の建設が認められたからです。1,320メガワットの発電所はサンダーバンズから14キロ・メートル離れたランパルに建設される予定です。
「私たちのマレーヒレアシについての最近の研究で、サンダーバンズはこの鳥の非常に重要な個体群を支えていることが確認されており、恐らくそれは世界で最大の規模でしょう。他の国で進行している生息地破壊を考えると、サンダーバンズは今後の数十年間このあまり知られていない鳥を見ることが出来る唯一の場所になるかも知れません。けれども、もしこの発電所の建設によりサンダーバンズが失われるようなことになれば、マレーヒレアシの将来も危機に陥ります。」とサンダーバンズ・ヒレアシ調査プロジェクトの調査主任Sayam Chowdhuryは言いました。
サンダーバンズはマレーヒレアシを始めトラやイルカにとって重要であるだけでなく、マングローブヤイロチョウ、チャバネコウハシショウビン、ベンガルハゲワシなど多くの種にとって大切な場所です。計画中の石炭発電所は疑いなくサンダーバンズ、そこに生息する野生生物、生態系そして森林に依存して生活する地元コミュニティに壊滅的で取り返しのつかない影響を与えるでしょう。マレーヒレアシの世界中の個体数は1,000羽以下で、サンダーバンズは本種の生態の研究が行われている唯一の場所です。
著名なバングラディシュの野生生物専門家のReza Khan博士は言いました。「電力には他にも多くの代替手段がありますが、世界最大のマングローブ林のサンダーバンズにはこれに代る場所はなく、私たちはベンガルトラやその他多くの野生生物の最後の避難場所を守らなければなりません。」
RSPB(英国のパートナー)の‘種の回復’部門のヘッド、ロバート・シェルドン博士は言いました。「マレーヒレアシは低地水系森林での河川の破壊と増大する攪乱、狩猟および卵や雛の採取により生息地全域で急激に数を減らしていることから絶滅危惧ⅠB類にランクアップされました。バングラディシュはマレーヒレアシに最後に残された生息地の一つを有しているので、同国はこの鳥がこれからも生存を続けることへの責任があるのです。」
(マーチン・フォーリー)