外来種問題に取り組むためのEU法案
今日、欧州委員会は長い間待っていた外来種(IAS)に関する法案を公表しました。外来種とは人により本来の自然の生息域でない場所の外から持ち込まれた生物で、この法案は外来種が生物多様性、経済および人の健康に与える悪影響と取り組むことを目的としています。これはおよそ20年の間に欧州連合の機関により提議された初めての生物多様性に関連するEU法で、大いに期待できる第一歩です。
外来種は世界的な生物多様性喪失の主な原因の一つで、人の健康に影響を及ぼし、深刻な経済的損害をもたらします。欧州連合(EU)だけで、外来種を原因とする経済的損失のコストは少なくとも毎年120億ユーロに達すると計算されています。
けれども、RSPB(英国のパートナー)スコットランドの生息地・種部門のヘッドポール・ウォルトン博士は言いました。「外来種への取り組みは柔軟性があり予防的な方法によってのみ成功するでしょう。どの種がどこで問題を起こすかということを予測するための私たちの能力は常に不完全です。従って、5年後に見直しを行うものとして、50種の外来種に対して対策を取るという提案の上限は、この提案の重大な欠点なのです。」
更に続けて彼は「EU内には現在既に少なくとも1,500種の外来種が生息し、この数は急速に増加しています。私たちは新しい外来種が侵入したら断固たる行動を取ることを可能にする責任あるシステムを必要としています。そこには外来種の自然環境への意図的なリリースを全面的に禁止する法律の導入と施行と、問題を起こす種を柔軟性を持ってリストに加えるシステムが含まれます。この方法だけが財政上も環境的にも理に適っているのです。」と言いました。
RSPBのEU生物多様性政策オフィサーのアリステア・テーラーは「‘EU機能条約’には‘公害発生者負担の原則’が公式に記載されていますが、欧州委員会の‘外来種法案’には外来種を意図的に野外に放した者に対する‘導入者負担’は何も含まれていません。このような追加対策が採用されるべきで、さもないと欧州の生物多様性に対する外来種の費用と納税者の負担は増加し続けるでしょう。」と言いました。
欧州議会と同理事会は、この委員会提案を改善し、効果的な法律を採用し、適切な外来種リストの作成システムを導入し、予防的原則と公害発生者負担の原則を含める上で重要な役割を持っています。私たちが欧州の生物多様性と市民の健康を守り、外来種による経済的コストを減らそうとするなら、EU全域で外来種の意図的リリースを全面禁止にすることが不可欠です。