欧州委員会がEUの活動をこれ以上遅くすれば外来種駆除のコストは増加する
2012年に欧州委員会が外来種問題に対処するためのEU法を発表すると約束して以来、財政・環境コストは増え続けていますが、これまでのところ、この問題に関する法律の提案は何も行われていません。
2013年はEUの脆弱な環境と経済に憂慮すべき影響が増大し、新たな外来種が出現し拡散しています。地中海と黒海ではツーリズムと漁業に脅威となる在来種と外来種のクラゲが何キロにもわたる海岸線で観察されています。英国ではカスピ海から偶発的に入り込んだ外来種のキラー・シュリンプ(殺人エビ)が英国の水域に一層の広がりを見せ、更に強力な別種のキラー・シュリンプがこれに加わっています。これらの種が淡水生態系に与える影響は大きな打撃になることが予想されています。
EU全土で‘トネリコ立ち枯れ病’として知られている外来種の真菌Chalara fraxineaによる経済と環境への潜在的影響は今完全に実現してしまいました。2012年にはこの真菌はベルギー、フランス、ハンガリー、イタリー、オランダ、ルーマニア、英国、アイルランドで検知されました。以前にこの真菌の影響を受けた国での経験によれば、85%ものトネリコがこの病気により一掃されたことを示唆しています。
欧州委員会自身は外来種(通常は生息していない自然環境に偶然または故意に持ち込まれた動植物)が欧州の在来種にとって深刻な脅威となっていることを承知しています。欧州議会とEU加盟国は2009年というかなり以前から活動を求めており、この時にはその費用を年間120億ユーロと控えめに見積もり、今年の初めにはバードライフとIUCN(国際自然保護連合)欧州議会の共催イベントでも緊急に活動を起こす必要性が強調されました。
となると、欧州委員会への質問は次のようになります。活動が開始される前にどれ程事態は悪化しているでしょうか?これらは外来種という氷山の先端を表しているにすぎません。今や、外来種問題に最終的に取り組む過程を主導するのはEU大統領のリトアニア(EUの大統領職は加盟国の持ち回りで、現在はリトアニア)にかかっています。EUの幅広い法規制が効果的に行われなければ、EUの生物多様性は氷山に衝突するコース上で立ち往生してしまいます。