オニアオバズクを探し求めて
バードライフ・オーストラリア(オーストラリアのパートナー)とその‘裏庭の鳥’プロジェクトがこれまで成功を収めた試験的プログラムに基づき‘オニアオバズク・プロジェクト’を拡大しています。オーストラリア最大の都市に生息するオニアオバズクに集中することにより、このプロジェクトでは本種の繁殖活動をモニターし、この絶滅危惧のある鳥の人口動態の他の側面を調べます。
翼開張1.4メートル、巨大な黄色い足とかぎ爪を持ち、フクロギツネ・モモンガ・果実食のコウモリ類や鳥を食料にするこのオーストラリアで最大の夜行性動物オニアオバズクの英名‘パワフル・アウル’は正にその特性を表した種名です。彼らはオーストラリアの東部および南東部に生息していますが、その全域で絶滅が危惧されています。彼らは主として森や林に生息していますが、最近益々都市の公園や庭で見られることが多くなってきています。このように巨大で絶滅が危惧される種が都市景観の中で見られることは、本種を調査するだけでなく、一般の人たちと関わりを持ち、彼らを調査や保護に積極的に参加させるまたとない機会を提供します。
‘オニアオバズク・プロジェクト’は広義のシドニー地域の都市内に生息する繁殖ペアをモニターするものです。実験プログラムは昨年行われ、50人以上のボランティアが参加してオニアオバズクの繁殖テリトリーを探しました。これに加えて一般の人から250を超える観察例が寄せられました。彼らは少なくとも1羽以上のヒナが巣立ちした15のテリトリーを見つけ、さらに繁殖の確認の出来なかった13箇所のテリトリーが記録されました。
‘オニアオバズク・プロジェクト‘はニューサウスウエールズ政府とバードライフ・オーストラリアの資金集めイベントによる資金が確保されてから拡大され、今後2年間は続けられることになりました。
同プロジェクトは今後その裾野を広げ、シドニー周辺の他の都市地域を含め、調査の範囲を繁殖成功率、サイトの適合度、撹乱に対する感受性、脅威および都市に適合した個体群の生息地の必要条件などをモニターします。私たちは学校や地域コミュニティのための教育資材の開発に傾注し、管理イニシアティブを策定するために土地管理者を雇用する予定です。
「このプロジェクトはオニアオバズクが特に都市の環境で人と共存することが出来るかどうかということを評価するために必要な貴重な情報をもたらすでしょう。」と‘オニアオバズク・プロジェクト’のマネージャーのデービッド・ベインは言いました。「重要なことは、このプロジェクトは絶滅危惧種の保護を行うために不可欠な役割を果たす、市民科学者としての一般の人たちの価値を示してくれるでしょう。」
すでに65人のボランティアが今シーズンの‘アオバズク観察者’として登録し、3月以後140を超える観察例の報告がありました。多くのペアがすでに番を形成したことが観察され、そのほかのペアも巣穴を選んでいます。これを助けるために‘裏庭の鳥’ウェブサイト上にオニアオバズクの分布域全体からの一般の人からの観察情報を受信するためのオンライン機能が立ち上げられました。
都市に住むオニアオバズクの個体群に関してはまだ学ぶべきことは多く、私たちの真ん中に生息しているこの象徴的な絶滅危惧種の生活が理解できるようになることを期待しています。