気候変動はどのように鳥の渡りに影響を及ぼすのでしょうか?

北極と南極の間を渡るキョクアジサシ 写真提供: © Tony Brindley

今回は、気候変動が渡り鳥にとってどのような意味を持つかを予測する研究論文を作成したバードライフの主任研究員Stuart Butchart博士にお話を聞きました。

 

バードライフの主任研究員Stuart Butchart博士が彼の論文「飛翔距離、エネルギー負荷、気候変動による渡り鳥の旅に対する影響」について説明します。

Butchart博士は、バードライフ・パートナー全体の保護プログラムに科学的な根拠を提供する科学チームのリーダーです。彼らの仕事には、IUCNレッドリストのための世界の鳥の絶滅危惧の評価、IBA(鳥を指標とする重要生息環境)の特定、および、根拠のある科学がバードライフの政策、提言、情報伝達を確実に支えることなどが含まれています。

 

 

 

この研究の動機は何ですか?

この10年間に鳥の分布が気候変動により変ると予測する多くの論文が発表されました。これらの論文では、現在適切な気候条件のエリアに生息する多くの種が極に向かって移動をすると予測されています。北半球の温帯で繁殖し、そこよりも南で越冬する種は、そのためにこれまでよりも長距離の渡りをしなければならなくなります。しかし、これまで渡りの時間とエネルギー・コストの関係でこのことの意味を考察する人は誰もいませんでした。私たちはこの問題に取り組むためにデュラム大学やその他の専門家と協力しました。

 

なぜ気候変動は渡り鳥に特に影響を与えるのでしょうか?

渡り鳥は一年の生活サイクル全体、即ち繁殖地、非繁殖地およびその両者の間の渡りのルートで適切な条件を必要とします。気候変動はこれら三つの全ての場所で条件を混乱させる可能性があるのです。

 

どのようにして結論に達したのでしょうか?

私たちは翼の形態と体重のデータを利用して、個々の渡り鳥の種がエネルギー補給のために渡りを中断する前に飛行できる距離を推定しました。次にこれらの推定を現在の渡りルートおよび予測される気候変動下における、将来の渡りルートの距離情報と結びつけました。ここから私たちはそれぞれの種が脂肪の再蓄積に必要とする中継地の数と渡りに必要な時間を算出しました。

 

2070年までにヨーロッパハチクイの渡りの距離は1,000㎞長くなると予測されている。
写真提供: © Pierre Dalous

何がわかりましたか?

80%を超える欧州の長距離渡りをする鳥には、繁殖地と非繁殖地の間の旅が距離、時間共に大きな増加があるでしょう。例えばヤブサヨナキドリは2070年までに約800㎞今よりも長く飛ばなければならないと推定され、これは渡りの期間が少なくとも5日間増えることになります。同様にヨーロッパハチクイは1,000㎞渡りの距離が増え、少なくとも4.5日長くなります。

 

野鳥保護の観点からどのような影響がありますか?

鳥は渡りの途上で死ぬ率が高くなります。それは捕食される危険の増加と、エネルギーを必要とする度合いが高まり、予測不能な食物供給が原因の飢餓によるものです。旅が長くなればこれらの危険が大きくなり、そのために個体数の減少につながる可能性があります。私たちの研究は長距離の渡りをする種が特に気候変動の厳しい影響を受ける可能性があるという更なる証拠を提供します。

 

報告者:Jessica Law

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