スウェーデンのヒバリ:減少からの逆転劇
バードライフ・スウェーデンと他の環境団体、大学や企業とのユニークなパートナーシップが、より持続可能な農業と生物多様性を実現します。
過去40年にわたり、欧州のヒバリは集約的農業により50%も減少しました。スウェーデンではこの数値が何と75%でした。バードライフ・スウェーデン、WWF、SLU及びLantmännenの報告によれば、耕作地の中の小さくて掘削されていない「ヒバリの小区画」が鳥に必要な多様な景観を作り、本種を増加させることを示しました。この報告書によると、「ヒバリの小区画」がある場所では繁殖個体数が60%も増加しています。
ヒバリの大幅な減少は主に、より大きな田畑と集約的な作物栽培による農業開発が原因です。スウェーデンの農家は「ヒバリの小区画」、即ち、ヒバリが地上に降り餌をみつけることができる種を筋まきしない区画を作ることを開始し、それがヒバリの生き残りを助けるのです。
「ヒバリの小区画」は違いをもたらす
報告書には、「ヒバリの小区画」が繁殖するヒバリに大きなプラスの影響を与えていることが示されています。この結果はウプサラ市のスウェーデン農業科学大学(SLU)の生態学部の研究者Sönke EggersとJonas Josefssonの3年間にわたる調査に基づいています。この調査は「ヒバリの小区画」のある田畑にいるヒバリの数が60%も増加し、より多くの繁殖個体と若鳥が生存する可能性が高いことを示しています。また、そこには近隣のヒバリも惹きつけられるようです。
SLUの研究者Sönke Eggersは、「もし私たちが、種の消失や生態系機能に及ぼす影響のない農耕地の利用が可能なら、研究者、農家、自然保護活動家は活動を共にするべきです。『ヒバリの小区画』は調査研究に基づいており、実際に機能している対策の好例の一つです。農民は農地生物多様性保全にとって非常に重要な存在であり、私たちは効率的な活動に関する新しい知識を用いて貢献していくことが大切です。」と言いました。
農耕地はEUの面積の45%を占めていますが、これらの生息地では生物多様性が忘れ去られようとしています。以前報告したように、欧州の農耕地の鳥の個体数は過去30年で55%も減少しています。現在は記録を取り始めてからもっとも少なく、農耕地の鳥は欧州で最も絶滅が危惧されている鳥のグループの一つです。スウェーデンの農民の努力によるこのプラスの影響は、同国の農耕地に生息するヒバリにとって将来が明るいです。
生物多様性に対するヒバリの役割
ヒバリやその他の鳥は全般的に地勢全体における生物多様性の健全度の良い指標です。それは自然の体系の回復力に重要なことなので、食糧生産にとって非常に重要な生存可能な種と生態系の幅広い基盤があるのです。
「私たちは『ヒバリの小区画』に関する報告の結果を喜んでおり、ヒバリの減少傾向を反転することに期待しています。一緒にやれば私たちは複雑な方法なしで違いを作り出すことが出来、そのアイディアそのものは、参加することも『ヒバリの小区画』を作るのも容易なものです。」とバードライフ・スウェーデンの理事Anette Strandは言いました。
生物多様性を忘れること
2018年3月に発行されたガーディアン誌にフランスの国立自然史博物館のBenoit Fontaine博士の「フランスではこの15年間にヒバリの4分の1を失った」という話が引用されました。バードライフ・ヨーロッパのEU農業・バイオエネルギー担当オフィサーのHarriet Bradleyは「農業はEUにおける生物多様性喪失の群を抜いた最大の要因です。」と主張します。実際に、数えきれないほどの科学的調査が、生物多様性の減少はEUの共通農業政策(CAP)と現在の助成金システムにより推し進められた集約的農業によるところが大きいことを証明しています。
報告者:Stina Rigbäck and Maxime Paquin