ミレニアル世代がこれからの自然保護を変えてゆく
若い自然保護活動家の斬新なアイディアが非常に素晴らしかったので、活動実施のための補助金が贈られました。次世代の保護活動の世界を形作る10のプロジェクトをご覧ください。
私たちは自然保護活動で若い人たちが長いキャリアの成功に弾みをつけるため必要な資源を提供することが、重要であると信じています。これが、私たちが一つだけでなく、二つのプログラム、バードライフ若手保護活動リーダー(YCL)と保護活動リーダーシップ・プログラム(CLP)に加わる理由です。
2018年のコンテストはジャイアントパンダ、山火事、「ハゲワシ安全地帯」など広範囲にわたるテーマを対象にしているアジア・太平洋地域の若手保護活動家を重視しました。以下は今年の受賞者です。
2018年度若手保護活動リーダー
太平洋地域では、3チームの若手保護活動家が計画を実施に移します。これらのプロジェクトは英国バードフェアからの惜しみのない支援のおかげで可能になりました。
1.スワロー環礁の保全
クック諸島初の国立公園であるスワロー環礁が危うくなっています。新しい規制では、このIBA(重要生息環境)が今後公式に保護されないため、開発プロジェクトや外来種の再導入に対して脆弱になることを意味します。プロジェクトチームはこのようなことが起きないよう、活動を実施しています。彼らは他のNGO、コミュニティー、政府とパートナーシップを組んで、スワロー環礁を再び国立公園にするための支援を集める予定です。
チームリーダーのLiam Kokauaは、今回の受賞を喜んでいます。「私たちのYCLチームはこの賞の受賞に興奮しています。申請がうまく行ったことに大変驚きましたが、この賞を保護活動家としての能力構築に使い、私たちの国唯一の国立公園スワロー環礁の向上に資金を向けることができることを喜んでいます。」
2.フィジーでの消火活動
フィジーの地元コミュニティーでは、野焼きを土地管理の手段として長年利用してきました。しかし、それを無作為に行えば生物多様性と土壌の肥沃さに甚大な影響を与えかねません。フィジーのYCLチームは認識を高め、フィジーのGreater Tomaniivi IBAへの損害を最小化するためのワークショップや協議を通じて、村民と共同で活動する予定です。
3.外来植物の除去
別のYCLチームが外来植物を除去し、バイオセキュリティ対策を導入することにより、ラパ島の二つの重要な森林地域を再生する予定です。受賞のニュースを聞いてチームリーダーのTehani Withersは、「この島は仏領ポリネシアの中でもっとも隔絶しており、空港はなく、商業船も2カ月に一度しか来ないので、地元コミュニティーによる素晴らしい支援があっても自然保護プロジェクトを始めるのは容易ではありません。私たちはこの受賞で得た資金を使って、より多くのことに取り組みたいと思っています。」と話しています。
ラパ島は、2017年のバードフェアの受益者プロジェクトで驚異的な額333,000英ポンドを集めたことをご存知かもしれません。YCLチームはこの大掛かりな復元プロジェクトの達成を目指します。
アジアでは鳥類の域を超えた4つのプロジェクトが、環境への脅威に取り組むために実施されます。Aage V. Jensen 慈善基金が、これらのプロジェクト実現のための資金を提供しました。
4.パンダモニウム(大混乱)
ジャイアントパンダは、バードライフの若手自然保護リーダーの対象種には思えないかも知れません。しかし、パンダの分布域と生息地は中国固有の森林性鳥類の70%と重複しており、家畜の放牧が両方に影響を与えています。チームは3つのIBA[武王朗(Wanglang)、雪宝頂(Xuebaoding)、江西官山(Xiaohegou)自然保護区]内で調査を行い、これらのエリアで野生生物やその生息地に脅威を与えずに何頭までの家畜が安全に放牧できるかを定める予定です。チームは更に放牧による争いの原因をより深く理解するために地元コミュニティーと共同で活動する予定です。
チームリーダーのCui Liuは、「このワクワクするようなニュースが入って来た際、大きなプレゼンの準備をするつもりでした。しかし、この喜びをチームメンバーと分かち合った途端、興奮しすぎて、仕事に戻るのが大変でした。」
5.アカガシラサイチョウを助ける
アカガシラサイチョウ(絶滅危惧ⅠA類)は世界で最も希少なサイチョウの一種で、フィリピンのネグロス島とパナイ島でのみ見られます。ハリボン協会(フィリピンのパートナー)のチームは、地元のコミュニティーと協力してこのカリスマ的な鳥を保護し、保護区設置を目指しています。
6.ベイウォッチ(湾の監視)
中国の渤海湾の沿岸性湿地は、東アジアーオーストラリア・フライウェイ(EAAF)を利用する渡り鳥にとって重要な中継地です。それにもかかわらず、600㎞に及ぶ海岸の大部分は現在公式の保護区になっていません。熱心なバードウォッチャーのボランティアが同湾を調査し、このサイトの保全に向けたロビー活動を計画しています。
7.ハゲワシ安全地帯の安全を守る
ネパール野鳥の会(BCN: 同国のパートナー)は獣医薬ジクロフェナクの毒からハゲワシを守るために「ハゲワシ安全地帯」の利用を先駆けて行いました。若手自然保護活動リーダーのチームは、100㎢に及ぶこの地帯を法的に保護するための活動を行っています。活動には定期的なモニタリング、ハゲワシにとって安全な餌の供給、これらの地帯を持続可能なものにするためのコミュニティー強化などが含まれています。
2018年自然保護リーダーシップ・プログラム
自然保護リーダーシップ・プログラム(CLP)はバードライフ、ファウナ&フローラ・インターナショナル、野生生物保護協会(Wildlife Conservation Society)の3者間のパートナーシップです。今年、CLPの3つのプロジェクトは全て経済的価値が高いために絶滅が危惧される種に焦点を当てています。CLPの補助金はCLPのパートナーのファウナ&フローラ・インターナショナルを通して行われる、グローバル・ツリー・キャンペーンおよびアルカディア(Lisbet Rausing and Peter Baldwinのチャリティー基金)の支援により可能になりました。
8.イチイの木は何を見ているか?
ネパールのMaire’sイチイ(正式和名不詳:イチイ科の1種)はその葉から癌治療薬タキソールの生産に利用できることから乱獲されています。このチームの重要優先課題は、この木の分布を知り、持続可能な収穫を確保することです。
9.青い血
インドでは、カブトガニの淡い青色の血液が生物医学技術での使用のために採取されています。その高い経済的価値と、漁具による混獲および繁殖地の消失が重なり、個体数が大幅に減少しました。チームはオリッサ海岸沿いで適切な保全を行うことにより、この傾向を逆転させることを目論んでいます。
10.果敢な挑戦
最後のプロジェクトは,オナガザメに焦点を当てています。インドネシアではこの科のサメ類はワシントン条約の付表Ⅱに最近加えられたばかりです。オナガザメの売買が適切にコントロールされていないところから、チームは管理勧告作成のために本種に関する理解の改善を目指します。
賞金と共に、これら10の受賞チームは、成長を続ける卒業生のネットワークから専門的指導に加えて、保護活動リーダーシップ・プログラムが主催する国際的なトレーニングコースによる独特の能力開発の機会が得られます。
2019年度の若手保護活動リーダー賞はアメリカ大陸に焦点を合わせる予定です。
以下の団体への感謝を込めて:
報告者:Charlotte Klinting