プレスリリース :欧州委員会は農業政策の約束を破り、食糧安全保障を危機に晒している

Cover photo by Lars Soerink

欧州委員会は、EUの農業政策である共通農業政策(CAP, Common Agriculture Policy)の法改正案を発表した。これは農業者の行政負担を軽減することを目的としているが、実際には農業者が直面している課題の解決策とはほど遠い。それどころか、共通農業政策の環境要件を真っ向から否定しており、自然や気候変動の喫緊の課題に取り組むための最低限度のものでしかない。

 

この提案は、良好な農業環境要件(GAECs, Good Agricultural and Environmental Conditionsなど)の撤廃、緩和、または非実施を認めており、共通農業政策を通した生物多様性や土壌保全に深刻な打撃を与えるものである。農場に(休耕義務の一時免除など)「自然の空間」を割り当てる義務を放棄することは、鳥類、蝶、花粉媒介者などの重要な野生生物の個体数がさらに減少することを避けられない。

 

これは、気候変動リスクに関する欧州環境機関の報告書で示された、近年の勧告を含む科学的コンセンサスに真っ向から反対する動きである。農業者と社会全体の長期的利益をも無視している。さらに、この提案は利害関係者の協議を経ておらず、影響評価も受けていない。EUの全体予算の3割を占め、国民の税金でもある共通農業政策の予算が、持続不可能な方向に向かっていることは憂慮すべきことである。この決定事項は、環境保全への要求が高まるEUの市民に対する侮辱である。

 

私たちは、EU理事会と欧州議会がこの提案を却下し、欧州委員会が真の解決策を提示するよう求める。

 

バードライフのEU農業政策担当オフィサーであるマリルダ・ダスカリ氏は、「欧州委員会は、EUの選挙を前に、目先の政治的利益にとらわれている。土壌の健全性の保全や、生物多様性を促進するための政策を任意もしくは廃止にすることで、本当の解決策を必要としている農民の声を無視している。さらに言えば、民主主義の原則を著しく無視している。この政策は、利害関係者との協議を避け、影響評価を全く行わないことで欧州委員会の議定書にも違反している。この機関は、社会が重大な転換点を迎える時期に誤った方向へ舵を切り、食糧安全保障と私たちの幸福をかつてないほど危険に晒している。

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