キガオミツスイの放鳥

キガオミツスイ
写真提供:Dean Ingwersen.

オーストラリアで計画されているキガオミツスイの個体数増加のための捕獲繁殖・放鳥プログラムにより38羽が野生に放鳥され、昔の友達(=以前に放鳥された個体)との再会を果たしました。

キガオミツスイはオーストラリア固有の絶滅危惧ⅠA類の鳥です。この鳥はユーカリの森で果汁や昆虫を食べます。最近の遺伝子調査により本種はワトルバードと非常に近い関係があることが示唆されました。

オーストラリアのキガオミツスイ復活チームは先頃、バードライフ・オーストラリア、環境・一次産業局(Vic)、タロンガ動物園およびパークス・ビクトリアの共同プロジェクトにより、ビクトリア州北東部のチルターンーパイロット山国立公園で38羽の捕獲繁殖したキガオミツスイを放鳥しました。今回は3度目の放鳥で、2008年以来のビクトリア州での放鳥により合計数が100羽になりました。

38羽の鳥はタロンガ動物園で繁殖、育成され、新しい環境に慣れるまでの2日間飛行機で南へ運ばれました。

38羽のうち25羽には研究者が地域内での彼らの動向を追跡できるようにカラー足環とラジオ送信機が装着され、残りの13羽にはカラー足環のみが装着されました。

放鳥後数分でキガオミツスイは昔から野生だったかのように餌を探し、空中で虫を捕え、ユーカリの樹冠の花の中で寛いでいました。以前の放鳥時と同様、今回もボランティアのチームが環境の利用や活動状況、生活状況を調べるためにラジオ追跡してプロジェクトのスタッフを手助けしています。最初の数日間は、放鳥された鳥のほとんどは遠くへは行かずに放鳥ポイントから1キロ以内に留まっていましたが、3週間のうちには多くが数キロ以内に散らばりました。装着したラジオ送信機のお蔭で、夜になると彼らが樹冠にある共同の塒に集まって来るのが分かりました。

これまでのところ、捕獲・放鳥された鳥は野生の個体とは接触していませんが、2010年に放鳥された1羽が今年戻って来て、今回の放鳥群に合流したことが分かりました。‘青・藤色’(カラー足環のお蔭による)というニックネームを付けられているこの個体は2011年に最後に観察されましたが、放鳥後3年を経た今も元気なことが分かったのです。捕獲繁殖個体の長期にわたる生存と野生個体群との合流がこのプログラムの目標ですので、‘青・藤色’は捕獲・放鳥戦略の頂点に花を添えるものです。

この放鳥は、オーストラリア政府による‘国土愛プログラム’の資金支援により、バードライフ・オーストラリアの‘生物多様性のための陸鳥’プロジェクトの下に行われているものです。

 

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