アンデスの森林を持続不能な農業から守るための認識

’ムナグロワタアシハチドリ生息地保全プロジェクト’で調査を行っているRolando Hipo(左)。 写真提供:© CLP

「自然のヒーロー」Rolando Hipoは、彼のアグロエコロジーの知識を地元住民に有機農業と持続可能な農業技術を教えるために利用し、同時に最も希少で見つけにくいハチドリの一種の研究に利用しています。

Aves y Conservación(エクアドルのバードライフ・パートナー:「鳥と保護」の意味)は、最も熱心で活動的なボランティアの一人を「自然のヒーロー」に選びました。Rolando Hipoは、訪れる科学者の野外でのアシスタントと鳥類学のアドバイザーとして活動し、彼の村の周辺のIBA(重要生息環境)に生息する鳥に関する論文の共著者となりました。このIBAには、最も希少で見つけにくいハチドリの1種が生息しています。鳥類学者としてのスキルに加えて、農業生態学の専門家で、他のコミュニティにも有機農業や持続可能な農業技術を教えています。

「自然のヒーロー」賞は、地元に残るアンデスの高地森林の保全を行っているRolando Hipoの隣人の活動も承知しています。

Rolando Hipoは、ピチンチャ火山の斜面にあるミンドIBAの境界内に住んでいるノノ・コミュニティの一員です。エクアドルの首都キトからちょうど2時間の同IBAには、驚くほどバラエティに富んだ生物多様性があり、450種以上の鳥やメガネグマなどの希少な哺乳動物が生息しています。ポリレピス属を含む亜熱帯の樹木や植物の10%までが、このIBA内とより標高が高い雲霧林に見られます。

Rolando Hipoと彼の仲間の活動の恩恵を受ける絶滅危惧ⅠA類のムナグロワタアシハチドリ。
写真提供:© Murray Cooper; worldsrarestbirds.com

ミンドIBAの山岳性森林の小区画はムナグロワタアシハチドリの生息地として知られている2ヶ所のうちの大きな方です。かつては広く分布していたこのハチドリは現在およそ200~300羽程度しか居らず、絶滅危惧ⅠA類に分類されています。Rolando Hipoは2014年~2015年のエクアドルでの「ムナグロワタアシハチドリ生息地保全プロジェクト」のメンバーで、「保護活動リーダーシップ・プログラム(CLP)」の資金支援により、地元住民の参加を働きかけていました。科学雑誌「野外鳥類学」2017年版に掲載された「ムナグロワタアシハチドリが利用する植物と環境」の論文の共著者の一人としてRolandoは、このハチドリが必要とする環境の保全と復元の指導を支援しました。

彼のコミュニティ住民との共同作業を通じ、また、ノコ郡の観光と保全に責任を持つ管理委員会のメンバーとして、彼は危惧種が生息するエリア内への農業の侵入を制限し、鳥の密度が最も高い原始林の区画を維持への支援を行いました。それに加えてRolandoは、9,500本の固有植物を植える森林復元イニシアティブにも関与し、彼の支援活動によりキトの自治体はこの地域を「保全と持続可能な利用のエリア」と宣言することを考えるに至りました。

「Rolandoはこのエリアの子供たちと若者との環境教育イベントを考案し、「亜熱帯水鳥センサス・プログラム」、「グローバル・ビッグ・デイ」、「クリスマス・バード・カウント」などの世界的なバード・ウォッチングのイベントへの地元住民の参加を働きかけました。」とAves y Conservaciónの理事Eugenia Endaraは言いました。「現在彼はこの地域の家族に環境に優しい農業の採用と、エコツーリズムの促進に傾注しています。彼はコミュニティの住民全員から彼の謙虚な態度や約束を守る態度、また人々と共にどのようにして鳥とその生息地の保全を行うかについての実例により尊敬されています。」

 

報告者:Nick Langley

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