インド:アジアのハゲワシ類の復活を脅かす抜け穴が閉じられる
今週、インド政府はアジアの絶滅危惧ⅠA類のハゲワシ類の絶滅を防ぐ重要な一歩を踏み出しました。ハゲワシにとって致死的な鎮痛薬ジクロフェナクの大ビンでの販売禁止の継続を表明したのです。裁判官はハゲワシを「屍肉を漁る鳥」ではなく、「衛生管理役」と呼び、終始ハゲワシの側に立ちました。
2社の大手薬品会社からの嘆願があったものの、マドラス高等裁判所は10月25日に多数回投与用のジクロフェナクの大びんの禁止を継続しました。これは獣医が家畜の治療目的に使うのには十分すぎる分量のものです。ボンベイ自然史協会(インドのバードライフ・パートナー)やRSPB(英国のパートナー)などによる長年のロビー活動の結果、2006年に違法行為として禁止されました。きっかけは、ジクロフェナクがわずかに残った家畜の死骸を食べたハゲワシがインド全域で大量死し、種によっては個体数の99.9%も減少したことでした。
禁止にもかかわらず、薬局は大きな30ミリリットルの多数回用の容器で販売を続けました。人用とされていますが、合法でハゲワシに安全な代替薬(メロキシカムなど)よりも若干安いことから動物に転用されていたのです。2015年にインド政府はこれらの大瓶の使用を禁止し、瓶のサイズを上限3ミリリットルとしており、薬品産業界の大手企業からの抗議にもかかわらず意志を貫きました。
この禁止処置を達成し、維持することはバードライフを含む保護活動団体の連合であるSAVE(Saving Asia’s Vultures from Extinction)の優先事項でした。SAVEのプログラム・マネジャーのChris Bowdenは次のようにコメントしています。
「人用に大きな瓶が必要であるとする合理的な理由はありません。大瓶の生産は、薬品会社がジクロフェナクの違法使用を促進する卑怯なやり口だったのです。」
「私たちはこの地域でのハゲワシ保護にとって重要な一歩であるこの判決を歓迎し、この重要な対策を維持することを決定したインド当局を信頼しています。」
「法廷闘争は2年以上におよび、私はほとんどの公判に出席し、関連する科学的資料を提出しました。」とSAVEのBharathidasan Sは述べています。SAVEの中心的パートナーであるBNHSもこの訴訟を通して重要な存在でした。
法定の判決を記述するに当たってM. Sundar判事はベンガルハゲワシ、ハシボソハゲワシ、インドハゲワシの3種を特にこの新しい法律の恩恵を受ける重要種であることを強調しました。
インド、ネパール、パキスタンの3国は、2006年にジクロフェナクの禁止を導入した最初の国で、バングラデシュが2010年にこれに加わりました。この禁止法や「Vulture Safe Zones」を導入した私たちの活動により、南アジアの絶滅危惧ⅠA類のハゲワシ類の個体数は、まだ予断を許さない低いレベルではありますが、2012年以降安定しつつあります。
ハゲワシに対するインドの支援が続けば、彼らは程なく復活の道を辿り始める可能性があります。この素晴らしいニュースは私たちがハゲワシの危機と戦うための国際的な「Multi-Species Action Plan」(複数種活動計画)についてロビー活動を行っている最中に届きました。
報告者: Jessica Law
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