ズアオホオジロがフランスのレストランのメニューから消える見込み

ズアオホオジロ 写真提供: © Pierre Dalous

フランスのエコロジー・持続可能開発・エネルギー省のNicolas Hulotは、ズアオホオジロの大規模な罠猟を止めると発表しました。残忍な料理のために、ズアオホオジロは光を遮られ、太らされ、ブランディーに漬けられます。このために、1980年以後個体数が84%も減少したのです。

ズアオホオジロは儀式的な味わいを満喫する料理です。この料理は鳥の頭にナプキンを被せて食べることが慣わしです。この方法は、食通が鳥やその骨まですべて平らげる間に、豊かな香りが飛ばないようにするためだと言われています。この儀式的方法は実際には食べることが大変だったために始まったのでしょう。あるいは羞恥心が理由なのかもしれません。なぜなら、ズアオホオジロが料理皿に乗るまでの行程は実際にむごたらしい事だからです。

この残虐行為は野外で始まります。毎年秋の渡りの時期に3万羽のズアオホオジロが捕獲されます。ヨーロッパ東部からアフリカ西部への渡りルートがフランスを通っており、特にフランス南西部のランド県は密猟の中心地です。ここでは非常に多くの小鳥がかすみ網に掛かるか、小鳥の好む枝に塗りつけられた鳥もちに絡んで捕まります。バードライフの推定によればフランスでは毎年50万羽の保護対象の小鳥が違法に捕らえられています。ズアオアトリアトリも密猟者の狙いになっており、またゴシキヒワも同様に毎年の虐殺の犠牲者になっています。

多くの鳥が野外で死を迎えますが、ズアオホオジロが待つ運命はさらに過酷です。昔からのやり方に従い、この小さな鳥は光を遮蔽され(通常の食習慣を止めさせるために)小さなかごに入れられます。そして無理やり餌を与えられて脂肪分が増えた後、ブランディーに漬けられ、ローストされ、料理として提供されるのです。

ズアオホオジロ
写真提供: © Andrej Chudý

分布域が広いことから(ヨーロッパと中央アジア全域に生息)ズアオホオジロは軽度懸念種に分類されていますが、リョコウバト(史上最も多く生息していたと言われていたが20世紀はじめに絶滅した米国のハト)やシマオオジ(中国での渡りの途中での密猟で急速に数が減っている)に起こったことを考えれば、安心はできません。実際、欧州のスズメ目の鳥で近年ズアオホオジロほど数が急速に減っている種は居ません。1999年に本種が保護鳥に指定されてフランスの法律で狩猟が禁止されたのにもかかわらず、1980年以降全体で84%も減っているのです。ズアオホオジロ料理は、文化的伝統と考えられてことを理由に、当局が密猟行為を見て見ぬふりをすることが多いのです。

過去10年間、LPO(フランスのパートナー)は陸と空でこの違法行為の対策に取り組んでおり、CABS(鳥類虐殺反対委員会)と共に、罠の場所を特定し、鳥を逃し、当局に通報してきました。最近までLPOの取り組みだけが密猟者を取り締まる唯一の方法でした。密猟者たちは地元で選ばれた役人や狩猟職員の賛同を得て行っており、彼らはこのような行為を‘許容範囲内’だと主張していたのです。実際に当局は30個の罠の設置は見つけても起訴しないでしょう。

けれども流れは変わってきています。この2年間、フランスの‘狩猟と野生生物のための国家機関(ONCFS)’が査察を行っており、ハンターに対する事例が今後棚上げにされることなく、追及されるようになると期待されています。LPOは欧州委員会に対して繰り返しフランス政府は野鳥の捕獲と殺傷との戦いに対してほとんど何もして来なかったという証拠を提出しており、2016年12月に欧州委員会はフランス政府をEU野鳥指令に対する違反に取り組んでいないとして欧州裁判所に提訴しました。罰金は数百万ユーロに達するでしょう。

そして、以下のニュースは小鳥たちには音楽のようにに聞こえることでしょう。2017年8月8日、フランスのエコロジー・持続可能開発・エネルギー省のNicolas Hulotはツイッターとプレスリリースを通じてランド県でのズアオホオジロの密猟を完全に終わらせるとの意向を発表しました。その中で彼は「生物多様性を守ることは人間性の未来にとって不可欠なものであり、私たちがレガシーとして受け継いできたものです。また、倫理的、科学的な理由からも将来世代に引き継ぐべき自然遺産なのです。」と言いました。

「ズアオホオジロの密猟は違法であり、止めねばなりません。この鳥の自然環境が気候変動により脅かされ、生息地が都市化により壊される中で、密猟は本種の生き残りに重大な危険をもたらすのです。」

「LPOはフランスにおける罠猟やあらゆるタイプの鳥の密猟に対して何年にもわたって戦ってきました。私たちは野鳥に関わる犯罪に対する取り組みで多くの勝利を収めてきましたが、野鳥指令はあらゆるタイプの‘伝統的’狩猟や罠猟のいっそう厳しい抑制などにおいて、適切に実施される必要があります。まだまだやるべきことがたくさんあるのです。」とLPOの国際サービス部門のヘッドBernard Deceuninckは言っています。

それでもHulotの声明はフランスでの野鳥保護においては大きな一歩です。LPOは、国が見境ない野鳥の罠猟をすべて停止させ、ズアオホオジロの取り締まりを始め、世界中の保護活動家にとって美味しい成果をもたらすことに期待しています。

 

報告者: Alex Dale

 

 

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