トランプ大統領による米国のパリ協定から離脱
ドナルド・トランプ大統領が米国のパリ協定からの離脱を決めました。同協定は、現在人と自然への最大の脅威の一つである気候変動の影響を抑えるためにおよそ200ヶ国が採択した国際協定です。バードライフはオーデュボン協会(米国のパートナー)と共同で、このショッキングなニュースに対する声明を発表しました。
バードライフは、ドナルド・トランプ米国大統領のパリ協定からの離脱決定に対して深く失望しています。この決定は無知な孤立主義であるだけでなく、全く道義に反するものです。
パリ協定は地球の未来にとって不可欠なものです。それは気候変動を緩和するために野心的な行動を取り、その影響に対して世界中で人と生態系が適応するための強力な枠組みを提供するものです。
およそ200ヶ国で採択されたパリ協定は、一つの国の離脱により破棄されることがないほど確固不動なものです。先進国も発展途上国も次々にこの協定の実施に対する誓約を再確認しました。トランプによる協定離脱が、気候変動への国際的な活動を止めることはないでしょう。
「鳥は気候がどのように変化しているかを示す、強力なメッセンジャーです。詳細な調査が行われた種の4分の1が既に近年の気候変動の悪影響を受けていることを示しており、世界中で1,300種がこれ以上の気候変動に対し極めて脆弱です。」と、バードライフのCEOパトリシア・ズリータは述べています。
「パリ協定の破棄は、人と鳥が直面している最大の脅威との戦いで米国がリーダーシップを放棄するものです。」とオーデュボン協会会長兼CEOのDavid Yarnold氏は言います。
「私たちの子供や孫が、この誤った決定による敗者になるのです。オーデュボン協会が、気候変動により危険であることがわかっている314種の鳥も同様です。昨年11月の大統領選挙で、アメリカ国民がこのようなことに投票したとは思いません。」
米国はリーダーシップを放棄しましたが、他の国々は前に進んでいます。バードライフはEUと中国が新たな同盟を組み、気候変動についての世界的なリーダーシップを提供するという約束を嬉しく思います。
バードライフは、世界122ヶ国のパートナーと共に自然と人類(トランプを含めるか除外するかは別として)のために、気候変動の解決に向けて休むことなく活動を続けます。
パリ協定―基本データ
- 協定は2015年にパリで採択された
- これまでに147の関係機関が批准
- 2016年11月4日に発効(記録的な短期間で予想よりもはるかに早い)
- 2015年のパリ協定の採択は、多国間協調主義における大きな成功だった。195ヶ国の政府が以下のことを約束:(1)世界の平均気温を産業革命前のレベルよりもプラス‘摂氏2度よりも下’、出来れば1.5℃以内に止めるよう努力する;(2)気候変動への適応能力を高め、気候変動に強い、低炭素の開発を実現する;(3)これらの目標を達成可能とする財政の流れを作る。
- 歴史上初めて気候変動と戦い、コミュニティの適応を助ける上での森林、海洋及びその他の生態系の重要性を認識した国際的な気候変動に関する協定が出来た。パリ協定は、気候変動に取り組む際の生態系と生物多様性の保全を保証することの必要性を強調している。これは生態系を守り、気候変動対策活動が真に持続可能なものになるために重要である。
- 都市、地域及び企業がすべて気候変動への取り組みを誓約し、パリ協定を承認している。
報告者: Alex Dale