より良い食糧と農業システムを求めて

Phil Hoganコミッショナーと‘リビング・ランド’連合

EU(欧州連合)の共通農業政策に対し、258,708人の市民と600以上の団体・企業が強い反発のメッセージを欧州委員会に送りました。これは欧州自然指令に対して行われたパブリックコメントに次ぐ2番目に大きな規模のものです。

2017年5月11日(木)、Phil Hoganコミッショナーは、共通農業政策(CAP)の抜本的改革を求める600団体のロゴを受け取りました。「リビング・ランド連合」(注:欧州におけるより公正で持続可能な農業のために注力する連合体)は、バードライフ・ヨーロッパ・中央アジアが欧州環境局(EEB)と共同で企画したブリュッセルで行うCAPの将来に関するトップ会談の前に、Hoganコミッショナーにロゴを渡しました。

この会談は、Guy Pe’er氏と Sebastian Lakner氏がCAPに関する研究結果を発表すると同時に行われました。「これまでの分析結果から、一貫した目標の欠如、非効果的で部分的に矛盾する手段、知識の不十分な理解が示唆されます。また、私たちは目標そのものの妥当性の貧しさや、農家と市民の双方がCAPと結果に満足していないことを明らかにしました。CAPの手段の構想も実施も現在の持続可能性への課題を満たしていません。しかし、CAPをより良いものにするための知識とツールがあるということが救いです。今必要なのは、それらを利用しようという政治的な意思です。」とPe’er氏は述べました。

「現在のCAPが農民、市民および地球に対して不適格なのは明らかですが、食糧と農業システムを持続可能な方法に大改革をするために必要性な新しい動きが出てきていることは確かです。」とバードライフ・ヨーロッパの上級政策ヘッドのAriel Brunnerは述べました。

EU予算のほぼ40%に当たる共通農業政策(CAP)は、環境劣化を引き起こす食糧の工業的生産を奨励し続けているため、欧州における持続不可能な農業の主要因です。持続不可能な農業は、欧州における生物多様性喪失の唯一最大の原因で、健全な土壌やきれいな水の枯渇と共に農耕地の鳥やミツバチの減少要因です。キアオジ、マキバタヒバリ、コキジバトとアカアシチョウゲンボウも失われつつある鳥の一例です。

欧州の農村部では58%もの農耕地の鳥がいなくなり、24%のマルハナバチが絶滅の危機にあり、大きな経済的損失が避けがたいという証拠があります。CAPは農村部の要求に対処することもできません。2007年から2013年の間に農業部門では約20%の仕事が失われ、小規模農家の倒産件数が増えています。

基調演説の中でPhil Hoganコミッショナーは、CAPの欠陥を認め、EUはもっと多くのことをやるべきだと述べました。「私たちは常により多くのことに取組む努力をしなければならないですし、CAPは積極的に行動を行い、SDGs(持続可能な開発目標)や気候変動に関するパリ合意など意欲的な国際合意の実現を、助けなければなりません。」

欧州委員会は2017年7月7日の会議にて、公聴会の結果を提示する予定です。EUの新しい共通農業政策は、2021年までにすべての加盟国が実施しなければなりません。

報告者: Maxime Paquin

 

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