知られざる深みへー科学者が海の秘密を解き明かす
世界の海を守ることは、現在その1%以下しか保全されていないことを考えると国際的な事業です。海洋生物に関する新しい識見により、科学者に地球上で最も離れた場所における生態学的、生物学的に重要な場所(EBSA)のいくつかを見つけることを可能になりました。インド・ハイデラバードで開催されているCBD(生物多様性条約)COP-11(第11回締結国会議)でバードライフ・インターナショナルは、このような場所の保全を国際社会に呼びかけているIUCN(国際自然保護連合)を支援しています。バードライフはハイデラバードで科学的データを提供し、今日のEBSAの記者会見で専門的な助言と政策支援を行っています。
海洋を支えること
公海を含む世界中の海洋が科学的調査の対象となった初めてのことで、そこにはアホウドリ、マグロ、サメ、ウミガメ、クジラなど多くの絶滅危惧種の分布、渡りのルート、繁殖・営巣や育児の場所に関する新しい事実が加えられています。バードライフがパートナーとなっている‘グローバルな海洋生物多様性イニシアティブ(GOBI)’が新しいデータの収集と処理を担当しています。
「これら重要地域の多くが国家の管轄権が及ばない場所にあるため、保全が無視されたり殆ど行われない状態です。私たちはこれらの遠隔地を政府が留意すべき中心課題に持ってこなければなりません。」とIUCNの上級公海顧問のKristina Gjerdeは言いました。
専門家により決められた、南太平洋西部、地中海、広域カリブ海および中央大西洋西部の120以上の海洋‘ホットスポット’は現在CBDによる承認を待っています。この承認は世界のリーダーがこれらの地域を認識し保全することを後押しするために必要なのです。バードライフはCOP-11の締結国に対して専門家のワークショップで説明されたEBSAを是認し、レポジトリー・メカニズムの範囲でこれに加わることを承認するよう求めています。
確かな科学
その他の主要テーマの中で、科学者たちはそれぞれの地域における生物多様性と希少種の数を評価しました。彼らはまた絶滅危惧種が生き残るためにこれらの場所がいかに重要か、また危惧種が気候変動や、公害、違法および管理不十分な漁業を含む人の活動による脅威に対していかに脆弱かに目を向けました。
「バードライフは、これまでCBDによる5つの地域ワークショップのすべてに参加して、EBSAの説明を導くための科学的情報を提供する主要な利害関係者の役割を担ってきました。」と今日ハイデラバードで行われたEBSAに関する記者会見での専門家のパネルに参加したバードライフの世界海洋IBAコーディネーターのベン・ラッセルは言いました。「バードライフは、EBSAのプロセス内での検討のため海洋IBA(重要生息環境)のリストを通して、これらのワークショップへ鳥の分布データの編集、分析および提出を行ってきました。」これらの海洋IBAは明日バードライフがCOP-11で発表する双方向性の‘海洋e-atlas(電子版世界地図)’により世界中で入手可能になります。
海洋は世界中の人々にとって地球の生命維持装置の重要な一部であり、微小な植物性プランクトンから最大の生物シロナガスクジラに至るまで、地球上の生物の80%の生息地と推定されています。海洋は私たちに酸素、食料、水をもたらし、地球の気候を調節します。持続可能でない人類による利用、気候変動、海の酸性化が生物多様性を脅かし続けているにもかかわらず、海洋の僅か2%が保全されているだけで(そのうち1%弱は公海)、大部分はまだ調査も行われていません。
バードライフはCBD事務局がEBSAの記述に対する協力的活動に広範囲な参加を導いたことを祝う次第です。EBSAはCBD COP-10で開始されたもので、近い将来成功を証明してくれることを期待しています。
報告者:Shaun Hurrell