世界の主導的環境保護グループは言う、「生物多様性の喪失に対して今資金を使うか、後になってもっと巨額を払うか」
インド、ハイデラバード(2012年10月10日): 今週、国連生物多様性サミットのためにインドに集まっている世界のリーダーたちは2020年末までに種の絶滅を防ぎ、持続可能な開発や人の幸福の基盤となる生態系サービスを守ることを目的とする世界的な活動計画を成功裏に行う国々のために公的資金の大幅な増額を行うことを約束すべきである、と今日世界の主導的環境保護団体が言いました。
CBD(生物多様性条約)で、コンサベーション・インターナショナル(CI)、バードライフ・インターナショナルおよびネーチャー・コンサーバンシー(TNC)は先進国から発展途上国への国際的援助の額を毎年20%増額することを求めています。これは金額にすると400億米ドルから990億米ドルへの増額で、平均すると今から2020年までの間に年におよそ120億米ドルの援助となります。また彼らはすべての国に対して生物多様性を守るために毎年国家予算の10%を増額する約束をすることを求めており、これは2020年末までに総額2,050億米ドルから3,820億米ドルの増加あるいは年平均480億米ドルの増額に相当します。
CIの生物多様性および生態系サービス政策理事のリナ・バレラは言いました。「私たちが現在生物多様性から得ている数兆ドルの利益と比べるなら、これは自然を守るための控えめな投資で、今やらなければ将来はより高い金額を払わねばならなくなるでしょう。この投資は環境の健全さを確保するだけでなく、長期の世界経済の安定、持続可能な開発、貧困の軽減などに貢献するのです。」
2年前に日本で開催されたCBD会議(COP-10)で、ほぼ200ヶ国が絶滅が危惧される動植物の絶滅を防ぎ、2020年までに環境とその持続可能な利用を守るための20のターゲット計画(愛知ターゲット)に合意しました。今回はこれからの2週間にハイデラバードで起きる交渉の鍵となるテーマの一つはこれらのターゲットへの資金供給の問題でしょう。ターゲットの実施を支援し、生物多様性を守ることの緊急な必要性への認識を高めるために、国連は2010~2020年を‘生物多様性のための10年’と宣言しました。
生物多様性を守るための公的なソースからの資金は現在毎年およそ50億ドルと推定されていますが、最近のアセッスメントでは、2020年までのいわゆる‘愛知ターゲット’に盛り込まれた活動を完全に実施するには毎年数千億ドルが必要であることを示しています。
TNCの国際政府関連事項の担当理事アンドリュー・デューツは「将来のターゲットを達成するために必要な金額の正確な数字がなくても、私たちはすでに生物多様性のために今現在必要な金額でもはるかに巨額であることを十分承知しているのです。私たちはその方向に向けての実行可能な第一歩を提案しているのです。」と言いました。
バードライフ・インターナショナルの世界生物多様性政策コーディネーターのカロリーナ・ハザンは「合計額は巨額に聞こえるかも知れませんが、多くのことが現在行われている投資の方向を変えるだけで達成されるでしょう。過剰漁獲、森林伐採、破壊的な農業実践、化石燃料の利用などを促進するような道理に外れた有害な補助金を改革することは自然資源の持続可能な利用と生物多様性喪失の防止に大きく貢献するのです。」と結論を述べました。
生物多様性保全の失敗は、自然な受粉、洪水の抑制、水の浄化、エコツーリズムなどの生態系サービスの喪失により年間数兆ドルの損失を引き起こすでしょう。同時に科学は私たちが今恐竜が地上を歩きまわっていた6,500万年前以来の大規模な絶滅危機の時代に生きていることを示しています。絶滅の率は化石記録から分かる歴史的な平均の100~1,000倍も速くなっていると推測されており、20分ごとに1種が永久に消え去る状態なのです。