EUの政策枠組み予算は社会への利益を含むべき

EU内で活動を行っている主導的環境NGOのグループである‘グリーン10’が、EU各国の財務大臣、欧州担当大臣、農業大臣に、共通農業政策(CAP)と複数年財政枠組み(MFF)の討議に関して手紙を書きました。

大臣閣下、

EUの次回MFF交渉は政策的アジェンダの重要課題であることから、来週の総務評議会での討議に先立って、私たちは2千万人の会員を有する欧州最大の環境10団体‘グリーン10’を代表して、CAPの予算が何をもたらすか、また、欧州の社会と納税者への利益となることが明確であるCAP予算の部分のみを守ることが決定されるまでは、CAPの全体的な配分を決めることのないよう強く求めます。

環境保護団体として私たちは長い間CAPは公共財の供給に対する農民に報酬を与える手段になる可能性があると主張し、この理由でEUの予算のかなりの額がCAPに振り向けられることを支持してきました。ところが、たとえば‘第2ピラー’の創設をもたらした前回のCAPの改革にもかかわらず。巨額の財源が欧州で最も環境に損傷を与えるような農業行為、特に‘第1ピラー’に未だに向けられています。これらの農業行為は環境と気候に害を与えるだけでなく、公共衛生や公平性、また貧困や社会的疎外との取り組みの欧州の目標達成を大きな危険に晒すのです。CAPがその可能性を達成し、正当性を回復するためには徹底的な変化が必要です。

昨年、私たちは農業評議会と欧州議会の農業委員会で討議されている提案をしっかりとフォローし、このような徹底的な変化に対するまさにベストなリップサービスがあったことを見ています。ところが悪いことに欧州議会でも農業評議会でも、農業交渉は今回の新しいCAP予算をどのように使うかという基本問題に何らかの明確な回答が出るまでは、MMFに関しては決定をしないことが計画されています。何人かの欧州議会議員は、CAP予算のカットは実際には社会に利益をもたらすCAP予算部分のカットであるとの主張を公言する始末です。CAPが‘greened(環境に優しいものにする)’よりも一層‘green-washed(環境を洗い流す)’になりそうなことがこれまでになく明らかになりつつあります。

私たちはEUのMFFを決定する方法としてこれは、特に欧州全体が経済危機の時であり、厳しい緊縮予算の時にあっては、受け入れがたいものであると信じています。私たちはまた、これはCAPが、欧州市民に綺麗な水と空気や豊かな野生生物などの公共財を与えることにより、その正当性を回復し、政治的にも環境的にも持続可能な政策を作り上げるためのおそらく最後の機会を致命的に損なうものであると信じています。

それゆえ、私たちは下記の正しい判断を下すための主要要素を確かなものにすることへの支援を要請します。第1に、農業交渉は資金が何に使われたのかという疑問に透明性を与えるものであること、第2に、社会と欧州の納税者に十分かつ実証できる利益をもたらすCAP予算の部分のみが最終予算の決定で守られることです。

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