IUCNのレッドリストが絶滅危惧種により多くの赤旗を掲げた

ブラジルでのワールドカップのマスコット‘ミツオビアルマジロ’は
IUCNのレッドリスト更新版で絶滅危惧Ⅱ類に載せられています。
写真提供:Joares Adenilson May Júnior

IUCN(国際自然保護連合)の最新版‘絶滅危惧種のレッドリスト’によれば、ほぼ80%の温帯のアツモリソウ類と90%のキツネザル類に絶滅の危惧があります。2014年FIFAワールドカップのマスコット、ブラジルのミツオビアルマジロも個体数の減少が続いているところから絶滅危惧Ⅱ類に据え置かれています。

今年50年を迎えたIUCNレッドリストは73,686種を査定し、その中の22,103種について絶滅の危惧があるとしています。

「IUCNレッドリストは目標を定めた回復活動を必要とする種を特定する際の助けになるだけでなく、IBA(鳥を指標とする重要自然地)などの重要サイト、種やサイトおよび生息地が直面する脅威を明らかにする助けとしても重要です。バードライフは過去数十年に亘りレッドリスト作成の主導的なパートナーの役割を担い、‘レッドリスト目録’などを開発してきました。私たちは次の50年間でもIUCNとの協力を期待しています。」とバードライフの科学部ヘッドのスチュアート・バッチャート博士は言いました。

北アメリカ、ヨーロッパおよび温帯アジアに生息する温帯性アツモリソウ類の世界中での査定でこのよく知られた観賞植物の79%が絶滅の危機に瀕していることが明らかになりました。その原因は生息地の破壊と、すべてのアツモリソウ類の国際取引が規制されているのにもかかわらず国内、国際取引のために野生種が過剰に採取されていることによります。

更新版IUCNレッドリストでは94%ものキツネザル類が絶滅の危惧にあることを確認しています。現存する101種のキツネザル類のうち最大種のインドリを含む22種が絶滅危惧ⅠA類です。世界最小の霊長類のマダムベルテネズミキツネザルなど48種が絶滅危惧ⅠB類に、また20種が絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。これによりキツネザル類は地球上の脊椎動物で最も絶滅が危惧されるグループの一つになりました。

キツネザル類は生息地であるマダガスカルの熱帯林の環境破壊による脅威を受けていますが、そこでは政治的な不安定と貧困度の増加が不法伐採を加速しています。食糧としてこれらの動物を狩猟の対象とすることも重大な問題になって来ました。

更新版IUCNレッドリストでは2014年FIFAワールドカップのマスコットであるミツオビアルマジロの再査定も行われています。本種は過去10~15年の間に3分の1以上が減少したものと考えられていますが、その原因は地元でCaatingaと呼ばれる乾燥した灌木地帯が50%以上も失われたことによります。ミツオビアルマジロは絶滅危惧Ⅱ類に留まりました。

「毎回IUCNレッドリストの更新時には幾つかの保護活動の成功例を祝いますが、それでも現状と、およそ200ヶ国の政府がこれ以上の生物多様性喪失を止め、種の絶滅を防ぐデッドラインと定めた2020年の間には長い道のりがあります。私たちは絶対にこのデッドラインを逃すわけには行きません。」とIUCNの‘グローバル種のプログラム’のディレクター、ジェーン・スマート博士は言っています。

バードライフはIUCNレッドリストの鳥類部門の公式な担当者です。今年度の更新版は724日に公表されます。

報告者:マーチン・フォーリー

 

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