アオキコンゴウインコに新たな希望が

アルモニア協会の’代用羽毛プログラム’が希少なアオキコンゴウインコを守っている 写真提供: © Wendy Willis

儀式用の頭飾りに人工羽毛の使用を推進するプログラムや、アオキコンゴウインコの新しい塒の発見により、このカリスマ的なオウムに新しい希望が生まれています。

アオキコンゴウインコは推定個体数約250羽の南米で最も希少なオウムです。アルモニア協会(ボリビアのパートナー)は過去10年間、本種に影響を及ぼす生息地の喪失、繁殖地の不足、密猟などへの対策に取り組んできました。彼らの密猟を止めさせる取り組みはユニークかつ大きな成功を収めています。地元の人たちに、頭飾りとして本物のオウムの羽根の代用品を用意したのです。

ボリビアのベニ県モセーニョ平原の住民は、伝統的な祭りでカラフルな頭飾りを纏ってボンゴと笛のリズムに合わせて踊ります。マチェテロスと呼ばれるダンサーはその動きと衣装を自然の色彩に捧げます。残念なことに頭飾りはアオキコンゴウインコを含む4種のオウムの尾羽で作られます。

アオキコンゴウインコは世界に50~250羽しか残っていません。 写真提供: © Myles Lamont

そこでアルモニア協会は‘代用羽毛プログラム’を開始しました。同プログラムでは地元の学校で行われたワークショップを通じて、有機素材で作られた人工羽の使用を促進する教育活動等を行っています。これらのワークショップは‘ナショナルジオグラフィックの保全トラスト’と‘ロロ公園基金’の財政支援によって実現しました。

モセーニョの人たちは自分たちの種族は自然とその造形物の守護者であると考えているので、彼らは代用品使用の重要性をすぐに理解しました。

「一つの頭飾りは平均30枚の中央尾羽で作られます。つまり、人工羽毛の頭飾りを一つ使えば少なくとも15羽のオウムが救われるのです。」とトリニダードにあるアルモニア協会のアオキコンゴウインコの保護プログラムコーディネーター、Gustavo Sánchez Avilaは説明しました。

ロロ公園基金’の支援を得て2010年に始まったこのプログラムは絶滅危惧ⅠA類のオウムを守るだけでなく、地元の職人や女性たちの間に彼らの自然遺産と文化を守ろうという機運を生み出しました。

さらに、魅惑的なダンスを見た多くの観光客がお土産にこの代用頭飾りを買い求めるので、地元住民の収入源にもなるのです。

2010年以後、モセーニョの人たちとアルモニア協会は4種で合計6千羽以上のオウムを救い、数千人の住民がボリビアの自然を保全する活動に携わりました。大部分のモセーニョの大きな町では代用羽の研修会を開催していますが、郊外ではまだ本物の羽根を使っています。アルモニア協会を支援していただければもっと多くのワークショップを開催することができ、さらに多くのオウムを救うことが出来ます。

人工羽毛を使った伝統的な頭飾り 写真提供: © Wendy Willis

新しい塒

アオキコンゴウインコの個体群を守ることは彼らの生存のために不可欠ですが、生息地が保全されていないまま見落されていないかどうかを確認する調査も重要です。

けれども雨季にボリビアのベニ県北部に行くのは大冒険なのです。季節的な雨がアンデスの雪解け水と合わさり、草原は広範囲にわたって水浸しになり、毎年3~5ヶ月間車での移動は不可能になります。

このような環境のため、地元民は、水溜り、膝までの深さのぬかるみ、頭の高さまで伸びた草地が点在するサバンナを通るのに馬という昔からの方法を使います。その結果、自然保護のための調査は複雑で費用の掛かるものになります。

だからといって、アルモニア協会の保護活動家チームが‘コーネル大学鳥類学研究所’と‘ロロ公園基金’の支援を得て開始した活動が止まることはありません。去年の夏からこの人里離れた地域により多くのオウムの塒になる場所はないか、調査を始めました。

実際のところは、この地域でチームは土地所有者がアオキコンゴウインコを見たと言う場所を調べて違う鳥だったという失敗を何度も経験しました。ですから、土地所有者からアオキコンゴウインコを見たという連絡を受けても、チームは若干の疑いを持って対応しました。

このようなことは既に数回起きています。多くの土地所有者が誇らしげにアオキコンゴウインコを見たと言っているのは、訓練されていない人には同じように見える普通種のルリコンゴウインコなのです。

ルリコンゴウインコ: しばしばアオキコンゴウインコと見間違えられる。
写真提供: © Luc Viatour

驚いたことに調査チームがあるサイトを訪れた際、少なくとも15羽のアオキコンゴウインコが小さな森に生息しているのを発見したのです。この新しく発見された塒はバルバ・アスール自然保護区から僅か40㎞しか離れていない所にあります。この保護区は世界最大のオウムの個体群が生息する場所で、年間カウント数は100羽を超えます。

ベニ県で重要なイベントで、ダンサーたちは伝統のダンスChope Piestaを踊る準備が出来ています。現在では人工羽の頭飾りの数はおよそ5対1の割合で本物の鳥の羽根の物よりも多くなっています。その一方で保護活動家は新しい塒の発見を喜んでいます。ダンスを踊るのにふさわしい成果です。

 

報告者: Irene Lorenzo

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