ワタリアホウドリの ひなちゃん、ついに巣立ちました!

生後2週齢のひなちゃん © Rosie Hall

2019年3月に南極に近いサウスジョージア島で生まれたワタリアホウドリのひなちゃん。現地の調査隊が撮影した写真や定点カメラから送られてきた画像を通して、皆さんと一緒に成長を見守ってきました。ひなちゃんの巣立ちまでを振り返る成長記をこれから3本の記事に分けてお伝えします。

「南半球アホウドリ物語」はひなちゃんがまだ卵の中にいる頃から、パパとママの様子を追っていました。39歳のパパと36歳のママの間に卵が生まれたのは1月上旬。ひなちゃんが3月21日に卵から生まれるまでの78日間、パパとママは卵を交代で大事に守りました。およそ2か月半、ひなちゃんの誕生を辛抱強く待ち続けたのです。ワタリアホウドリが翼を広げた時の長さは鳥類最長なので、卵が大きいことも納得がいきます。でも、生まれたばかりのひなちゃんのウルウルとしたつぶらな瞳からは、3.5メートルもの大きな翼の持ち主になるであろうことは想像もつきませんでした。小さい頃のひなちゃんは、パパとママの足よりかろうじて大きいくらいで、亜南極の厳しい気候や天敵には1羽では耐えられません。そのためパパとママのガードはとても固く、交代しながら暖かい羽の下でひなちゃんをしっかりと守りました。

少し距離を置いてひなちゃんを見守るママ © Rosie Hall

4月の下旬頃になると、ママは巣から少し離れたところでひなちゃんを見守りはじめました。一羽で巣にいることをひなちゃんに慣れさせようとしていたのです。子離れはママにとっても辛かったに違いありません。でもこうやって見守れる期間が過ぎれば、風が強くてとても寒い、長い夜がひなちゃんを待っていました。子離れはひなちゃんが厳しい環境に耐えるための準備だったのです。

 

定点カメラから送られてきた8月の画像にはこんなに成長した姿が

定点カメラの画像を見ても、ひなちゃんが日を追うごとにスクスクと成長しているのがよくわかりました。ふわふわの綿羽が少なくなるにつれて外見は大人っぽさを増し、羽ばたく練習をすることで大空を飛び立つ日へ向けた準備もし始めました。巣の周りをお掃除をしてくれるサヤハシチドリさんというお友達ができたりして楽しいこともありましたが、ひなちゃんは亜南極の厳しい冬に耐え、オオフルマカモメのような天敵からも自分で身を守らなければなりませんでした。パパとママが餌を持ってきてくれるのをただ座って待っているだけに見えましたが、サウスジョージア島でのひなちゃんの生活は簡単なものではなかったのです。

ひなちゃんの成長記2回目と3回目では、パパとママの餌探しの旅と、ひなちゃんの巣立ちまでを振り返ります。お楽しみに!

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