ブラジルでのカオグロナキシャクケイの再導入

カオグロナキシャクケイ
写真提供: Marco Silva

2010年の定例調査で、サンパウロの Sierra do Mar山域に残っているカオグロナキシャクケイは僅か1羽であることが分かりました。SAVE Brasil (ブラジルのバードライフ・パートナー)のチームは直ちに本種の再導入計画のために大西洋岸森林内にカモフラージュを施した巨大なケージを作りました。それから6年、状況は元に戻りつつあります。カオグロナキシャクケイは新しい環境に適応しつつあり、地元住民も本種の生息地がダメージを受けないようにチェックしています。

カオグロナキシャクケイは世界的な絶滅危惧種で、南アメリカの太平洋岸森林の固有種です。密猟と生息地の喪失により本種はブラジルのリオデジャネイロ州、エスピリトサント州、バイーア州などの本来の分布域の大部分で地域的に絶滅してしまいました。本種の元々の生息地はブラジルの南バイーアからリオグランデ・ド・スル州、アルゼンチン北部およびパラグアイまで広がっていました。

本種の飼育下繁殖は成功例が多数あったため、再導入と個体数の補充の可能性があることは示されています。個体数の大幅な減少が起こった期間に本種が受けていた重大な脅威を考慮して、SAVE Brasil は2010年に‘ブラジルの大西洋岸森林の狩猟鳥保護: カオグロナキシャクケイの再導入とモニタリング’プログラムを開始しました。

このプロジェクトはカオグロナキシャクケイの飼育管理と放鳥で個体数を増やすことにより、本種の再導入とモニタリング・プログラムを実施し、本種の保護状況を改善することを目指すものです。

発信機を装着して放鳥されたカオグロナキシャクケイ 写真提供 Ricardo Boulhosa

発信機を装着して放鳥されたカオグロナキシャクケイ
写真提供 Ricardo Boulhosa

カオグロナキシャクケイ・プロジェクトは、二つの科の鳥に焦点を絞った調査がサンパウロ州のSerra do Mar山脈で行われた2010年に始まりました。ホウカンチョウ科(ヒメシャクケイ、クロシャクケイ、オオホウカンチョウなど)とシギダチョウ科(シギダチョウ、ウズラシギダチョウなど)の2科です。この調査では1年間で160kmもの長さに及ぶ調査地で調査が行われたにもかかわらず、わずか1羽のカオグロナキシャクケイしか記録されませんでした。この鳥はさまざまな果実を食べ、その種子を散布して森林の再生を助けると言う重要な生態的役割を持っているので、この状況は懸念されるべきものでした。

最初の調査で本種の個体数が激減しており、この地域では絶滅寸前であることが明らかになりました。新たな個体数調査が2015年にSerra da Mantiqueira山脈で行われましたが、この地域では1羽も記録されませんでした。個体数の補充など種の管理対策が必要であること、長期的に個体数を保全することが緊急課題であることがわかりました。

これらの調査により、本種の個体数補充プログラムの必要性が明らかとなりました。カオグロナキシャクケイを放鳥環境に慣れさせるためのケージが、リオデジャネイロ州のGuapiaçu生態保全区とサンパウロ州のSerra da Mantiqueira山脈の二つの地域に建設されました。

ケージは長さ15メートル、幅8メートル、高さ8メートルの大きさで、大西洋岸森林内に設置されました。ケージ内で鳥は飛行の練習や、放鳥される環境に順化することが出来ます。

ケージはカオグロナキシャクケイが大西洋岸森林の環境に慣れるのに十分な大きさ 写真提供: Ricardo Boulhosa

ケージはカオグロナキシャクケイが大西洋岸森林の環境に慣れるのに十分な大きさ
写真提供: Ricardo Boulhosa

2016年3月に個人のブリーダー(CESP)から複数のカオグロナキシャクケイがSerra da Mantiqueiraのケージに持ち込まれ、ここで放鳥の準備が行われました。3ヶ月の間に鳥は飛行や、採餌、捕食者認識の訓練や、個体間の社会的交流の評価や行動追跡が行われました。

そしてついに2016年6月28日、9羽のカオグロナキシャクケイがSerra da Mantiqueiraで放鳥されました。これらの鳥は人工衛星や、野外調査、地元のコミュニティのバードウォッチングなどによって追跡されています。

放鳥の一週間後、ケージから1キロ離れた地元住民の所有地にカオグロナキシャクケイが発見されたとのニュースが入りました。この個体は放鳥6日後にケージの付近で観察されたもので、同じように放鳥された雌と一緒でした。

プロジェクトチームは放鳥した鳥がうまく自然環境に適応している様子を目の当たりにし、これまでの放鳥の結果にワクワクしています。ケージから離れた場所で見られた個体とは別に、数羽が森の中で果実を食べているのも観察されています。

教育活動を通じてカオグロナキシャクケイのファンを増やす 写真提供: SAVE Brasil

教育活動を通じてカオグロナキシャクケイのファンを増やす
写真提供: SAVE Brasil

放鳥とモニタリングに加えて、プロジェクトでは教育活動にも力を入れています。2015年以降、40以上の教育活動が行われ、述べ約約1,200人が参加しました。また、この地域の公立学校の教員100人以上を対象に9回に及ぶ研修会も開催されました。

果実を採餌する放鳥された個体 写真提供: © Carolina Farhart

果実を採餌する放鳥された個体
写真提供: © Carolina Farhart

 

 

報告者: Alice Reisfeld

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