データは退屈なものか、不可欠なものか?

データセットは退屈であくびが出ますか?では、良いデータがなければ環境を効果的に保全できないということをもう一度考えてみてください。科学者はより良いデータを求めています。最近の研究で、データセットの5%しか効果的に生物多様性を保全するために必要な‘究極の基準’を満たしていないことが明らかにされているのです。

まだ納得できませんか?それではほとんどが南大西洋のゴフ島でのみ繁殖する絶滅危惧ⅠA類のゴフワタリアホウドリと絶滅危惧ⅠB類のズキンミズナギドリについて考えてみてください。これらの鳥の雛の多くが、侵略的外来生物のイエハツカネズミに齧られて死んでいるのです。このような侵略的外来生物は世界の至る所で在来種にとっての重大な脅威となっており、特にそれは島嶼で顕著です。けれども、絶滅危惧種の効率的な保護を優先的に行うにはもっと多くのデータが必要です。

生物多様性への脅威が何処で起きており、どれ程の速さで進行しているのかを完全に理解するためには関連する情報が自由に入手出来、信頼性が高く、最新のものでなければなりません。サイエンス誌に発表された研究はそのようなデータが極めて不十分であることを明らかにしています。

過去2年間、バードライフを含む18団体の連合が自然に対する脅威に関する世界中のデータを編纂しました。彼らの基準を満たしたのはそのうち5%だけでした。

島嶼での外来種を例に見てみましょう: 現在、どの外来種が、どの島で、どの在来種に脅威を及ぼしているのかを特定する世界的な総合データセットはありません。けれども、論文の著者はこのようなデータ不足の補填をゼロから始める必要はないことを強調しています。バードライフ、アイランド・コンサベーション、IUCN(国際自然保護連合)のSSC(Species Survival Commission)の‘外来種専門グループ’、カリフォルニア大学サンタクルス校が共同で‘Threatened Island Biodiversity Database’にこのようなデータを集め、生物多様性に対するこの重大な脅威に取り組むために世界中の最も重要な島嶼を特定する作業を行っているからです。

このデータベースは外来種の駆除が最大の成果につながるような島のリストの屋台骨となるでしょう。これは乏しい保護活動の資源をどこに使えば危機にある在来種のための利益を最大化できるかという優先順位を決めるのに必要なのです。

問題は外来種だけではありません。著者は森林伐採、ブッシュ・ミート(野生動物の肉)の採取、野生動物の違法売買など生物多様性に対するその他の重大な脅威に関する主要な情報も不足していると言っています。

「私たちは‘ビッグ・データ’の時代に生きています。けれども、世界で生物多様性に何が起きているのかを理解する段になると実際には無視界飛行をしているようなものです。」とマイクロソフト社で環境調査を主導する論文の主筆者のLucas Joppaは言っています。

脅威に関するデータ不足は保護活動に深刻な結果をもたらす可能性があります。例えば、森林伐採の状況を示す高解像度の衛星からの地図の世界的なデータセットが自由にアクセスできるようになったことにより、バードライフやRSPB(英国のパートナー)の科学者は数百種にのぼる種の絶滅リスクが過小評価されていたことを発見しました。

「これらのデータの入手が自由にできるようになったことから、私たちは種ごとの絶滅リスクの予測結果を査定し、どの種が危惧されるかをより正確に定め、より効率的に保護活動の目標を絞ることが出来ます。」とバードライフの科学部ヘッドのStuart Butchart博士は言っています。

例えば、ダルマオナガインコは2000年~2012年の間に分布域内(主としてインドネシアとマレーシア)の森林の17%を失ったことが判明し、IUCNのレッドリストで準絶滅危惧種から絶滅危惧Ⅱ類へ格上げされました。

Jappaたちによる新しい論文では、政府や民間企業に世界の生物多様性のためにデータへのアクセス性向上に取り組むことを強く推奨しています。素晴らしい例としては、これは世界規模で共同作成した最大の海洋保全のためのデータの一つであるバードライフの‘Global Seabird Tracking Database(世界海鳥追跡データベース)’があり、これには現在、世界中の海洋のアホウドリ類、ミズナギドリ類の500万点以上の位置情報が含まれています。

これらのデータは、ゴウワタリアホウドリなどの種の移動に関する理解を深めるだけでなく、海鳥にとって最も重要な場所を特定し、確実に保護するためなどの用途に益々利用されるようになって来ています。

 

報告者:Shaun Hurrell

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