2018年ナチュラ2000表彰

By Gui-Xi Young

欧州では表彰式のシーズンが始まろうとしています。映画愛好家達は、映画スター達がカンヌ映画祭のレッドカーペットを歩く姿を楽しみにしています。自然愛好家達は、517日に行われる「グリーンカーペット」のイベントである、EUの「2018年ナチュラ2000賞」を待ちわびています。

「ナチュラ2000賞」は、世界最大の自然保護区のネットワークであるEUのナチュラ2000の卓越した管理実績を表彰するものです。同賞は、自然保護活動家が欧州で最も重要な環境と絶滅危惧種の存続させるために行った価値ある活動を評価するものです。最も権威ある賞は、疑いなく一般投票で選ばれる「欧州市民賞」です。今年の候補者リストは、まるでバードライフの成功した保護活動集で、最終選考に残った25のプロジェクトのうち、8つがバードライフ・パートナーによる活動です。

バードライフの候補者は以下の通りです。

 

バードウォッチ・アイルランド:ロックアビル島でのベニアジサシの保護活動

バードウォッチ・アイルランドは、ダブリン(アイルランドの首都)の沿岸沖の小さなロックアビル島でのベニアジサシ保護プロジェクトを見事に成功させました。ここは本種の欧州におけるもっとも重要な繁殖地で、欧州におけるベニアジサシ個体数の47%を支えています。特に1970年代以降の本種の個体数の激減を見ると、ロックアビル島は世界的に危惧される本種にとって重要なのです。バードウォッチ・アイルランドは、過去29年間にわたりロックアビル島での保護活動を主導してきており、最近5年間は繁殖成功のための最適な環境条件の確保を行ってきました。それは木製の巣箱の大量設置から、野生生物監視員による夏の間中の監視にまで及びます。この活動により個体数は152ペアから1,597ペアに急増したのです!

ロックアビル島のベニアジサシ
写真提供: © BirdWatch Ireland

 

BSPB(ブルガリア):農業(人)と保護活動(ガン)の利益の調整

ブルガリアの黒海沿岸で、BSPB(同国のパートナー)はどのようにすれば自然保護と農業が共存できるかということを明らかにしました。二つの湖、Durankulashko ezero湖とShablenski ezeren湖は、世界で最も絶滅が危惧されるガンの仲間アオガンの越冬個体の90%を保護しています。ところがアオガンは、湖に近い穀物畑で採食をするので、地元農家の穀物に悪影響を与えます。鳥と人間との亀裂を解決するためにBSPBは、地元農民にガンに優しい方法での土地管理を奨励する活動を始め、農家に対して穀物の損害を補償する「EU農業環境支払いスキーム」の開始につなげました。試験プロジェクトが大成功を収めたので、この試みはアオガンの採食地の約85%をカバーするまでに拡大され、アオガンの攪乱や殺傷が大幅に減りました。

アオガン(ブルガリアにて)
写真提供: © Mladen Vasilev

 

BSPB(ブルガリア)、HOS(ギリシャ)、RSPB(英国):
神聖な鳥を救うための
3大陸共同の保護活動

3大陸を渡る長く危険な渡りの旅をする気高いエジプトハゲワシを守るために、BSPB、HOS(ギリシャのパートナー)、RSPB(英国のパートナー)の3団体による国境を超えた協力が認められました。エジプトハゲワシは、多くの国や文化において神聖な鳥として長く崇められて来ました。しかし近年、毒薬、送電線での感電、巣の強奪行為、その他の攪乱など様々な脅威を受けています。このプロジェクトの主な目的の一つがバルカン諸国におけるエジプトハゲワシと、その卵の違法取引問題を減らすことでした。3団体は、本種の野生生物犯罪と取り組む税官吏の教育を共同で行い、インターポ-ルなどの国際機関との協力を促しました。その結果、悪名高い密猟者が逮捕され法廷で有罪判決を受けました。

エジプトハゲワシ
写真提供: © Kalin Botev

 

CSO(チェコ共和国):チェコ・ポーランドの
Krkonose/ Karkonoszeナチュラ2000サイトでの野生生物保護のための連携

自然には国境がありません。チェコとポーランドの国境でCSO(チェコのパートナー)がKrkonoše山脈の野生生物保護を改善するためにポーランドの手助けをしています。ツンドラ・森林・牧草地の特別なモザイクと、極地・山岳および山地・低地種が独特に混じり合ったこの山脈は、この地方で最も重要な野生生物と生物多様性のサイトの一つです。しかし、これまでは国境を越えた協力が欠けていたため、保護活動は限られていました。これに対応するために、本プロジェクトでは幾つかの共通の保護目標を定め、調整することを目的としました。そのため、野生生物のモニタリングの合同チーム設立や、オジロビタキやウズラクイナなどの種の利益となるように、森林と牧草地の管理方法に沿った共通種のデータベース作成まで行われています。

 

RSPB(英国):シアント・アイルズ復元プロジェクト

RSPB(英国のパートナー)は、数千羽の海鳥の重要な繁殖地となっている北西スコットランド海岸沖の島シアント・アイルズにおけるネズミの侵入から、同島を復活させるための活動を熱心に行ってきました。ここで繁殖する海鳥には、ニシツノメドリ、オオハシウミガラス、ウミガラス、ウ、ミツユビカモメなどが含まれます。実際に、ヒメウミツバメなどの何種かはネズミが雛や卵を捕食したため、近年この小さな無人島で繁殖していません。ボランティアチームと共にプロジェクトスタッフは、2015-2016年の冬に大規模なネズミの駆除プログラムを実施し、大成功を収めました。18カ月を過ぎた現在も島には、ネズミがいる兆候がありません。ウミツバメは、コロニーでの声を真似たスピーカーからの呼びかけで、島に戻るように促されています。この場所を見守りましょう。

 

SEO/BirdLife(スペイン):ナチュラ2000:人々を生物多様性とつなごう

スペイン人の10%しかナチュラ2000を聞いたことがないという調査結果に危機感を募らせて、SEO/BirdLife(スペインのパートナー)が国民の自然に対する関心を高めるための活動を始めました。ナチュラ2000の存在自体を知らなければ、どのようにそれを守れると言うのでしょうか。SEO/BirdLifeはまず、スペインの通信社Agencia EFEと共同で、スペインのナチュラ2000ネットワークへの関心と認識を高めるような広報活動での協力を始めました。テレビのドキュメンタリー・シリーズが撮影、放映されて一般市民からの大きな関心と称賛を受け、シリーズ全体を通し、約5百万人が視聴しました。このプロジェクトの終了時には、約2倍以上の人にナチュラ2000を知ってもらうことができました。

 

BSPB(ブルガリア):生命の塩:湖、塩、鳥類と人の話

多忙なBSPBはブルガリア生物多様性基金と共にAtanasovsko湖の製塩の文化的、社会経済的、生態学的な重要性を一般の人々に伝える活動を行ってきました。このプロジェクトは、塩がどのようにこのエリアに対して社会経済的、生態学的など色々な意味で生命をもたらすかを明確にすることを目標にしていました。「生命の塩」は仕事を生み出し、重要な収入をもたらします。同時に、沿岸湿地を繁栄させ、希少な潟を守り、欧州のすべての鳥の半分以上を惹きつけます。移動展示会、毎年恒例の「生命の塩フェスティバル」、遊歩道などの創造的イニシアティブのおかげで、数十万人のブルガリア人がこの国家遺産の類稀な点を再発見しました。

Atanasovsko湖の製塩作業
写真提供: © BSPB

 

MME(ハンガリー):カタシロワシの毒殺を止めるパートナーシップ

ハンガリーは、カタシロワシのEUにおける総個体数の3分の2の生息地です。MME(ハンガリーのパートナー)は、同国の20カ所のナチュラ2000サイトとその周辺の生息地でこの素晴らしい種を、違法な毒殺から守る戦いを先頭にたっておこなっています。2005年から2011年の間にハンガリーでは、44羽のカタシロワシが家畜農家のオオカミ対策のために置かれた違法な毒物の犠牲となって殺されました。2012年にMMEは、毒を与えられたワシを嗅ぎ分けるように訓練された特別な犬部隊の創設、、この問題による影響に関しより深い理解を得るための大規模な啓発活動、巣を守るボランティアの募集など、大掛かりな保護活動を有する5ヵ年プロジェクトを始めました。これらのイニシアティブのおかげで、毒死事件の件数は大幅に減り、プロジェクトの最後の2年間では繁殖個体数が36%も増加しました。これはEUの総個体数の25%増に相当します。

 

そして受賞者は・・・

パートナーの皆さんの活動に対する特別な評価を得たこと、おめでとうございます。表彰式の夜にはバードライフ・ファミリー全員が、皆さんと一緒です。投票は4月22日に締め切られましたが、誰が受賞するかは5月17日乞うご期待です。

報告者:Gui-Xi Young

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