シギ・チドリ類保全にとっての大ニュース!

江蘇省如東(ルドン)の干潟はシギ・チドリ類にとって極めて重要な場所です。 資料提供:© Richard Allen

中国政府が、海岸沿いのあらゆる「事業関連」の干拓を止めることを発表しました。これはヘラシギ(絶滅危惧ⅠA類)を含む東岸の干潟に依存して東アジアーオーストラリア・フライウェイを飛ぶ数千万羽の渡り性シギ・チドリ類保全への大きな後押しになります。

この記事は元々Terry Townshend氏のブログ「北京でのバードウォッチング」に掲載されていたものです。

今週政策の変更を報じる二つの英文の記事が、中国のメディアで発表されました。中国最大の新華社通信社とチャイナ・デーリーです。重要なのは、後者は中国政府の国務院のホームページに掲載されたことで、この新しい政策が高いレベルからの支援を受けていることを示しています。

記事は国家海洋局(SOA)主催の2018年1月17日の記者会見で発表されたもので、SOAの副局長Lin Shanqingはこの新政策の幾つかの重要な要素の概要を説明しました。

第一に政府は、「建造物が立っていない干拓地を国有化し、まだ始まっていない国の政策に反する干拓プロジェクトは凍結する」というものです。

第二に、「干拓地に違法に建築され「海洋環境を深刻に損傷する」建造物は取り壊す」というものです。

第三に、「中央政府は干拓地を基礎とする土地開発の承認を止め、国の重要インフラ、公共福祉や国防に関連したもの以外のすべての干拓行為を禁ずる」というものです。

そして第四は、おそらくこれが中国東海岸の将来という点で最も重要となる「地元当局は、干拓プロジェクトの承認を行う権限を有しない」です。

ヘラシギは渡りの旅で中国の干潟を重要な休息と栄養補給の場所として利用している。
写真提供:© aDam Wildlife / Shutterstock

SOAの国家海洋監督署長のGu Wuは、次のように言っています。

「過去には土地の干拓はある程度まで沿岸地域の土地の不足を緩和することにより経済開発を促進し、公共インフラや工業団地のためのスペースを提供しました。けれども違法で規格外の干拓行為が、海洋生態系や合法のビジネスに対して数多くの問題を引き起こしました。そして、その影響は大きな社会的関心となったので、去年政府は干拓を年次の監査でしっかりと監視すると決めたのです。」

1月17日の記者会見に先立ち、2017年のSOAによる監査で明らかにされた沿岸部の省による土地干拓プロジェクトの誤った管理を非難する二つの記事がありました。この記事では、河北省(北載河、南浦島、Happy Islandが所在)が非難され、様々な違反の中でも「昌黎県では国の自然保護区内で観光業、水産養殖業、造船業などのすべてが認められていた」ことを明らかにしました。

江蘇省では:

  • 2012年以降「81.29ヘクタールの干拓地を含む合計14のプロジェクトが、不当に承認された」
  • 干拓地の大部分が見捨てられており、実際に開発されたのは21.28%に過ぎない
  • 184の干拓プロジェクトの開発業者は、プロジェクトの建設を始める前に政府の承認を得ていない
  • 江蘇省は自然保護区を効果的に保全するのを怠っていた。江蘇省の湿地保護区周辺の約9,955ヘクタールの海域で、魚の養殖がおこなわれていた。このような商業行為は禁止されるべきだった。

また遼寧省でSOAは以下のことを見つけました:

  • 省政府は干拓プロジェクトに効果的な助言を与えることを怠り、公害物質が海に廃棄されるのを制御できなかった。
  • 省政府は汚染者と干拓規制法の違反者に罰金を課していたが、罰金の50%以上が未徴収だった。
  • 省の環境当局により登録されていた211の排水管のうち、68は法的手続きに従って承認されたものではなく、その幾つかは注意深い監視がされていなかった。

軟体動物や甲殻類を採食する東アジア-オーストラリア・フライウェイの主要種コオバシギ
写真提供:© Elliotte Rusty Harold / Shutterstock

SOAによる土地干拓に関する新しい政策の発表は、保護活動コミュニティにとっては少々驚きでした(大変歓迎すべきことではありますが)。しかし中国で活動を経験した人は、政策の策定がこのような流れで決まることが多い事を知っています。政策決定の過程が不明確で、新しい政策が発表された時、政府が政策の見直しを行っているという第一報である場合が少なくありません。

バードライフとRSPBの首席政策オフィサーのNicola Crockfordは、この新しい規制に大きな力を感じています。「この素晴らしいニュースは、ヘラシギやコオバシギのようなまだ絶滅してはいないが、避けがたいように感じ始めている水鳥の絶滅を、実際に避けることが出来るのです。」

勿論、SOAの監査により概略の説明がされた既存の規制に対する違反のリストから分かるように、新政策の発表とその実行は同じではありません。この政策が残された干潟の完全性を確保するために必要な厳密さによって施行されるかどうかは見守るべきことです。

更に干拓の中止は必要ですが、それだけでは東アジア-オーストラリア・フライウェイのシギ・チドリ類の個体数の減少を止めるには不十分です。今優先すべきは、渡り性シギ・チドリ類の重要なサイトの保全と効果的な管理を確実に行うことです。そして、これこそ自然保護団体が今後数ヶ月、数年かけて注力してゆく事でしょう。

そうは言っても、現時点で実行はされないだろうと悲観する理由はありません。実は、私は楽観しています。新政策は習近平国家主席の高いレベルの説得力と最近の環境法制の強化が一致しているからです。現時点では「中国政府、良くやった」と言いたい。

 

報告者:Terry Townshend

原文はこちら

 

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