空中の島―サモアの雲霧林を守ろう
太平洋地域環境プログラム事務局(SPREP)とサモア自然資源・環境省(MNRE)はバードライフ・パシフィックの支援を受けてサモアの最高点のサヴァイイ高地の雲霧林の12日間に亘る集中調査を完了しました。
この生物多様性迅速調査(BIORAP)は標高1,870メートルの起伏が多く近付き難い場所のおよそ100平方キロをカバーしました。
「私たちは今この人里から隔絶しほとんど訪れることの無い地域の動物や植物についての情報がなぜ欠けているかをよく理解しています。」とSPREPの陸上生態系管理官のブルース・ジェフェリーは言いました。
設備や食料、水などを雲霧林の天辺まで持って行くことが主な仕事で、不安定な気候と相まってこのような調査を行うことを不可能にするとジェフェリーは説明しました。「実際に、ニュージーランド自衛隊のヘリコプター編隊の大きな支援が無かったら、このエリアをカバーするのは不可能だったでしょう。」
調査はニュージーランド自衛隊が独立50年の祝典のためにサモアに駐留していたときに合わせて行われました。「生憎、このことは私たちが5月の不安定な気象に翻弄されたことを意味します。」とジェフェリーは言いました。
調査戦略には事前に調べておいた何箇所かのヘリコプター着陸可能地に1~2晩専門家のチームを降下させ、次に彼らを別のサイトに配置するというものでした。運悪く、ある場所では3チーム合計12人の調査員が悪天候により非常に湿った条件で足止めされました。低く立ち込める雲と雨によりヘリコプターでの避難は出来なくなり、2日間はただ天候の回復を待つより他に何も出来なかったこともありました。
「降雨量について知ってもらうために言うなら、チームが着陸し、クレーター内にキャンプを設置したときには完全に乾燥していたのに、避難する前には24時間で2.5メートルも水が溜まり、調査チームはクレーターの壁を登らなければならなくなりました。別のキャンプ地では調査隊はモニター調査の資材を回収するためにクレーターを泳いで渡らなければなりませんでした。」このような妨げがあったにもかかわらず、鳥、昆虫、爬虫類、植物を担当する調査チームの専門家はこの雲霧林の生物多様性の初期的分析をするのに十分な量の情報を集めることが出来たことに自信を持っています。
調査では国や世界的な状態で特に重要な何種かの鳥類で深刻なニュースがあります。鳥類調査チームをコーディネートしたデービッド・バトラー博士は「手短に言うと、チームは絶滅危惧種オオハシバトの未確認情報を一つと、本種のものと思われる声を1~2回聞いただけで、しかもこれは似た声を出すミナミコブバトのものであった可能性があります。」とコメントしました。「調査は特別にオオハシバトだけに絞ったものではなく、また調査時期もこの鳥を調べるには必ずしも適切ではありませんでしたが、サヴァイイ高地は私たちが期待していたようなオオハシバトの本拠地ではないと結論を出しても良いでしょう。」とバトラー博士は言いました。
鳥類チームは絶滅危惧ⅠA類のサモアオグロバンも見つけることが出来ず、心配していたように、本種は実際に絶滅してしまったのではないかという重大な懸念を招きました。バードライフのマーク・オブライエン博士は鳥類調査を助け、若干の希望を記録しました。「私たちは、観察場所がばらばらでしたが、かなりの数のサモアヒロハシ、サモアモズヒタキ、サモアナキサンショウクイ、サモアメジロを記録しました。」
BIORAP調査はクリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(CEPF)の資金支援と、太平洋地域環境プログラム事務局(SPREP)およびサモア自然資源・環境省(MNRE)とサヴィイイの地域コミュニティにより実施されました。