勝利を呼びこむカーボベルデの心と意思
とある無人島の島で、絶滅が危惧される鳥やカメを守る保護活動が確実かつ長期にわたる結果を出しつつあります。「今では漁師が私たちと一緒になって、鳥を殺すのではなく個体数を数えてくれるのです。彼らはカメの巣を守る活動にも協力的です。これはとても大きな変化です。」
肌を刺すような太陽の日差し、乾いた岩だらけの地面、大西洋の強風でぼろぼろになった、かつて軍隊が使っていた帆布のテント。岩だらけの海岸の沖にはミサゴが魚を狙って飛び込む姿が見られます。日陰ではテントの真水の樽の蛇口からポタポタ落ちる水をめぐるスズメの争いで埃が舞い上がります。これが船酔い確実の船に6時間も揺られた末に到着するRaso島の風景です。この島に行けば、絶滅危惧ⅠA類のヒバリの1種の全個体数だけでなく、このヒバリや他のユニークな固有種を守る活動を行う小さくても情熱あふれる保護活動チームをまず間違いなく目にすることでしょう。
アフリカ西海岸から600km沖に浮かぶ火山列島であるカーボベルデ共和国は発展途上国です。サメとサンゴ礁に囲まれた無人島サンタルジアと、ラソとブランコという二つの岩の小島は、カーボベルデの自然が残る特有の場所ですが、永住するのにはあまりにも遠く離れています。
けれども、ケープベルデミズナギドリなど固有の海鳥が数千羽営巣し、絶滅危惧ⅠB類のGiant Wall Gecko(和名不明: ヤモリの1種)や絶滅危惧Ⅱ類のアカウミガメもこれらの島を住処にしています。しかし、無人島だからといって彼らが安全ということではありません。
世界で最も絶滅が危惧される鳥の一つであるラゾコヒバリは、採餌場所である小さな草原の多くがハリケーンや日照りでなぎ払われるなど、気候変動の影響に苦しめられています。2006年にはこの広さ7平方キロメートルの小島での個体数は70羽に減りました。献身的な地元の保護活動NGOであるBiosferaが、SPEA(ポルトガルのパートナー)やボランティアの支援を受けて、ラゾコヒバリの個体数を元に戻すために近くのサンタルジア島(ラサ島よりも大きく、類似の植生)への移住を目指して活動しています。
これらの島では密猟が別の脅威になっています。かつては漁師がこれらの島にやって来ては、海岸に営巣するケープベルデミズナギドリとメスのアカウミガメで‘船を一杯にして’帰っていました。
昔、Biosferaの共同設立者のTommy Melo Meloは密猟者からウミガメを守るためにブランコ島で野営し、食糧が無くなると魚を捕るためにサメがうようよ居る海に潜っていました。
「今では漁師が私たちと一緒に活動してくれます。例えば、彼らは巣に居る鳥の数を数えてくれます。」と彼は言っています。彼らは今ではカメの巣を守る活動にも協力的です。「これはとてつもない変化です。」
Tommyはある構想を持っています。「カーボベルデにこれらの3島を含む巨大な海洋保護区を作ることです。」この目標のために行ってきた何年もの活動には、ウミガメの巣を守るために毎日海岸沿いに数キロも歩き、卵の生存率を高めるために孵化場に移し替えることから、Biosferaの鳥類学上の識見と能力を構築するために政府や大きな国際的保護組織のプロジェクトと協業することまで多岐にわたります。
CEPF(国連クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金)からの助成金によるSPEAの支援のお蔭でBiosferaは次第に大きくなりました。
「Biosferaは素晴らしい団体です。彼らはまるで父と子がともに働くかのようにスタートしました。」とSPEAのプロジェクト・コーディネーターのPedro Geraldesは言います。
「以前は、私たちは名前だけのNGOでしたが、今やまさにNGOそのものです。」とTommy入っています。
現在、彼らは政府と共に海洋保護区の管理を目指しています。
「私たちは漁民と政府をつなぐ橋なのです。」とBiosferaのコーディネーターのPatricia Rendall-Rochaは言っています。
報告者: Shaun Harrell