スロバキア: 小さな国のEU議長国としての大きな熱意
EU(欧州連合)に加入して12年後、スロバキアは初めて欧州理事会の議長国に就任しました。
欧州中央部に位置するこの小さな国は、これからの6ヶ月間、高い熱意を持ってこの役割に取り組みます。EUの結束を高め、内外の課題に取り組み、1つの欧州としての市民の自信を取り戻すのです。英国の国民投票の結果を受け、EUがどれだけ市民の声に耳を傾け、期待に応えるかが、これから正に必要になってきます。スロバキアの活動は、経済や自由市場だけでなくその先まで取り組むことが必要となります。
環境保全
スロバキアの議長がその熱意で実践できる分野の一つは環境政策であり、世論調査でも多数の市民がEUの活動を期待している分野です。気候変動、水、循環する経済および生物多様性などが議長国に望まれる環境問題対策の優先事項リストに入っているので、スロバキアはEUを気候、生態系、資源を守るための規定の策定に向けて活動する素地は出来ています。
欧州で起こっている生物多様性損失の流れを反転させるために、議長国は議論の内容を「我々には正しい法的枠組みがあるか?」ということから、「何を改善すべきか、そしてそのためにどんなリソースや仕組みが必要か」へシフトさせるべきです。欧州委員会は自然指令の‘フィットネス・チェック’の完了を遅らせていました。結果は春に公表される予定でしたが、秋にずれ込みました。
農業政策の適応
5月の非公式理事会の際に、議長国だったオランダは2020年以後のEUの農業政策に関する議論を加盟国と開始しました。今回議長国となったスロバキアはこのような議論を広範囲の利害関係者を交えて続ける場作りをし、現在の規制の根幹に関わるような質問にも耳を傾けることが求められます。
現在の共通農業政策(CAP)は農家に対して不公平で、農業市場に常に危機を招き、自然資源喪失の主要因となっています。持続可能性に貢献し、地方のコミュニティーを守り、健全な農業を作り出すような新しい取り組みモデルについて検討することは、スロバキアにとってもEU全体にとっても不可欠です。
スロバキアは重要な施策の一つとして、環境に優しいグリーン経済への転換に注力することを決めました。EUの経済モデルを、自然資源を守りつつ人の幸福と社会的公正の改善につながるように変えることは、間違いなくEUに対する市民の支持を取り戻す重要なカギです。スロバキアは、環境に優しい経済と持続可能性を会議1回限りの議題にせず、確実に欧州の将来に関する議論の中心になるようにしなければなりません。
報告者: Tatiana Nemcova
原文はこちら