アフリカ諸国の指導者たちが野生動物の違法取引や密猟との戦いに立ち上がる
アフリカ各国の政府が、‘アフリカの野生動植物の違法採取と違法取引対策のためのアフリカ戦略’を実施するためのロードマップに合意し、野生生物の違法取引に取り組む誓約を行いました。この画期的な出来事は4月16日~19日にエジプトのカイロで開催された‘アフリカ環境問題大臣会議(AMCEN)’の第6回特別総会で決まりました。この計画はアフリカ各国の政府がゾウ、サイ、希少な鳥類や植物などのアフリカを象徴する生物の密猟と違法取引による減少に歯止めをかけるための大胆な活動につながることが期待されます。
「私たちはこの重要な出来事を大いに称賛します。」とバードライフのアフリカ地域担当理事のJulius Arinaitwe博士は言いました。
「加盟国にとってはアフリカの生物多様性の脅威となる災難に立ち向かうチャンスとなります。アフリカのハゲワシ類もゾウと同じ運命にあり、今が行動を起こす時なのです。」
バードライフはアフリカ連合、IUCN(国際自然保護連合)、WWF(世界自然保護基金)、TRAFFIC(IUCNとWWFの共同自然保護事業)およびAWF(アフリカ野生生物基金)と共同で、野生生物の違法取引に関する閣僚会議の状況を伝えるためのサイド・イベントをカイロで主催しました。ナイジェリア共和国の環境担当大臣のIbrahim Usman Jibrilが議長を務めたこのサイド・イベントでは、アフリカでの野生生物の違法取引と密猟に取り組む状況、課題、アプローチや機会について確認・議論されました。そこには駐アフリカ連合および駐エチオピアのベニン共和国大使やアフリカ連合加盟諸国、市民団体の代表者も参加しました。パネリストは南アフリカ、セネガル、アンゴラからの参加者でした。
バードライフのMasumi Gudkaは過去30年間でアフリカのハゲワシ類が70~97%も減少したことを明らかにするショッキングな統計を示しました。IUCNのレッドリストでは11種のハゲワシ類のうちの4種が絶滅危惧ⅠA類に分類されています。
「象牙の密猟者は、彼らの違法行為が見つかる手がかりとなるハゲワシを狙って意図的にゾウの死骸に毒を施すのです。2012年~2014年に155頭のゾウと2,044羽のハゲワシが密猟と毒殺で殺されました。2013年にはナミビアで一度に500羽のハゲワシが密猟されたゾウに施された毒で死亡しました。」
「一頭の毒の入ったゾウの死骸があれば絶滅が危惧されるハゲワシ数百羽を殺せるのです。」と彼女は付言しました。
ハゲワシは炭疽病、結核、狂犬病、ボツリヌス中毒症などの病気の拡散を抑止する‘自然界の清掃人’です。1羽のハゲワシは死肉食を通じて生涯におよそ11,600米ドルの利益をもたらします。インドでハゲワシの個体数が90%以上減少した際には、インド政府は野良犬によって拡散される狂犬病被害対策に毎年340億米ドルの支出を余儀なくされました。
ナイジェリアの大臣Ibrahim Usman Jibrilは次のように述べました。
「ハゲワシの減少に伴う経済、社会的なコストは深刻で憂慮すべき事態です。アフリカ連合加盟国はCMS(移動性野生動物種の保全に関する条約)の毒薬ガイドラインに従って化学薬品の使用を規制することにより、ハゲワシ、ゾウ、ライオン、その他の種の毒殺問題に取り組むために出来る限りのことをするべきです。」
‘アフリカの野生動植物の違法採取と違法取引対策のためのアフリカ戦略’の次のステップは、加盟国が優先事項をリストアップして専門家会議に提出することでしょう。技術グループによる調整メカニズムはアフリカ連合委員会により調整されるでしょう。実行の詳細を作成するための地域ワークショップもそれに続きます。
野生生物の違法取引と密猟対策の費用はアフリカの経済にとって毎年約20億米ドル必要です。国の安全にとって巨大な脅威であり、生態系全体を危うくし、地元コミュニティの収入を大きく減らすものです。
「規制不能な反政府組織がこの違法取引で武器を購入するための違法な所得を得て、国や地域に不安定をもたらす手段として利用しているという証拠があります。」とWWFのアフリカゾウ・コーディネーターのLamine Sebogoは言いました。
「アフリカは今や話し合いから行動に移る時期に来ています。」とTRAFFICの欧州・アフリカ上級理事のRoland Melischは言いました。
「アフリカ連合委員会、加盟国及び市民団体が‘アフリカ戦略’のための実施計画を立てるために共同で活動することがこの誓約に対する証です。」
報告者: Obaka Torto
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