自然保護カウボーイの活動が国際的に認められた
南米の自然の草原を農業の拡大から守るためには、何より協力が重要です。先頃行われたバードライフの‘サザン・コーン草原連合’(南米大陸の南部地域、形がコーン状(円錐形)に見えることからこのように呼ばれる)による‘牧場主集会’の様子を収めた写真をご覧ください。
数百人の牛の牧場主、自然保護活動家、政府役人、研究者が越冬する渡り鳥の環境を危機から救うのに必要なアイディア、専門知識そして最善の放牧方法を共有するために一堂に会しました。まず第一に重要な事は、伝統的な手法を続けている草原の牧場主たちはこのイニシアティブの恩恵を受けているということです。すなわち、持続可能な方法で草原を管理する知識によって、より良い食肉が生産できることと、‘草原連合’認証を受けたの鳥に優しい牛肉製品が消費者に選ばれているということなのです。
アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル、パラグアイ4ヶ国(サザン・コーンを形成する国々)のバードライフ・パートナーによる10年に及ぶ活動の結果、益々多くの牧場主が自然の草原の少なくとも50%を保全するようになりました(4ヶ国で350の農場が認証されています)。‘サザン・コーン草原連合’が、目覚ましい成果をあげた保全活動を表彰する米国森林局の2016年‘アメリカ大陸の翼(Wing Across the Americas Awards)’賞の一部である、‘国際協力’賞を受賞したのはもっともなことです。
「この受賞はアヴェス・アルヘンティナス(アルゼンチンのバードライフ・パートナー)、アヴェス・パラグアイ(同国のパートナー)、SAVEブラジル(同国のパートナー)、グイラ・パラグアイ(同国のパートナー)の尽力により、サザン・コーン草原連合が実に多くの利害関係者を一つにまとめたことが大いに認識されたことを表しています。」とサザン・コーン草原連合のコーディネーターNicolas Marchandは言いました。
「草原連合活動の10周年に受賞できたことに誇りを持ち、満足をしています。米国森林局が最初から私たちと同じ方向を向いて協力してくれたことに感謝します。」
この賞はバードライフのフライウェイ・プログラムとも同調します。フライウェイ・プログラムは渡り鳥の渡りルート上にあるバードライフ・パートナーが協力して鳥の保護のために国と国をつなぐものです。アラスカやカナダの寒帯と北極圏地域のシギ・チドリ類は越冬地としてこれらの南部の草原に依存しているのです。
現在自然の状態で残っているサザン・コーン草原は僅かで、農地への転換により脅威が続いています。
この現実に対応するために2005年に4ヶ国のバードライフ・パートナーは草原の生物多様性保全のために大規模な、多国間イニシアティブを作る目的で集まりました。
昔からガウチョと呼ばれている南アメリカのカウボーイはどのように数百万羽の鳥を守る策を講じるのでしょうか?
サザン・コーン地域では草原の95%は個人所有の土地です。農家は短期間により多くの所得を得るために元々の草原を作物に転換するか、土地を産業規模の大規模農場に売却するかの大きな財政的圧力を受けています。これらの草原はラテンアメリカで最も危惧されている生態系の代表的なものですが、世界で最も豊かな牧草地であり、数百種の鳥の生息地でもあります。
牧場主とそのパ-トナーをこのパートナーシップに加えたことで鳥に優しい牛肉の認証制度が出来上がりました。その肉には‘草原連合’のロゴであるキバラムクドリモドキの絵が貼り付けられ、飼育場育ちの牛よりもより消費者に選ばれやすく、かつより高い値段が付けられるようになりました。アルゼンチンでは自然の草で育てられたことの認証済みの牛肉が既に販売されており、今年はブラジルでも販売され、ウルグアイでも販売開始が間近となっており、さらにその後パラグアイでも実施される予定です。この取り組みにより、数百万羽の鳥が生活する、背丈の高い、あるいは低い、また茂った多様性のあるモザイク状の草原がこれからも維持されます。
アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル、パラグアイの327,000ヘクタールの草原が鳥に優しい牛肉を生産しています。
報告者: Shaun Hurrell